スマート工場の新たな切り札である「5G」は、ネットワーク機能の仮想化やネットワーク分割といった技術とセットになって力を発揮する。それぞれの仕組みを解説する。
製造業は高速通信ができる「5G」(第5世代移動通信システム)を導入して、AI(人工知能)技術やIoT(モノのインターネット)を駆使したスマート工場の進化を図っている。第1回「AIやIoTだけじゃない 注目のスマート工場の新たな『原動力』とは」は、5Gが利用を促しているSDN(ソフトウェア定義ネットワーク)の活用を考えた。第2回となる本稿はネットワーク機能の仮想化(NFV)やネットワークスライシング(ネットワークを仮想的に分割する技術)に焦点を当てる。
5Gネットワークの導入とともに、NFVに着手する企業もある。NFVを使えば、仮想化によってネットワーク機能を専用ハードウェアから切り離せる。NFVはファイアウォール、ルーティング、負荷分散といった機能をVM(仮想マシン)として運用する。NFVは、5Gの重要な要素であるネットワークスライシング(ネットワークを仮想的に分割する技術)を実現する上で欠かせない。
調査を専門とする非営利団体Economic Strategy Instituteの上級研究員、ロバート・コーエン氏は「NFVを使用することで、共通のネットワークインフラで拡張可能な別々のネットワークを構築できる」と説明する。同氏によると、企業はSDNとNFVを併用すれば、自社ネットワークの可視性を高め、管理効率の向上につながる。
ネットワークスライシングによって、企業は大量のデータを分割した特定のネットワークに割り当て、それぞれ独立したネットワークとして機能させることができる。1回当たりに伝送可能なデータ量を増やすこともできる。
コーエン氏は「ネットワークスライシングを使用すると、企業はネットワークで新しいサービスや用途を実現する際、高い制御レベルと柔軟性を実現できる」と述べる。ネットワークスライシングのコントローラーは、特定のネットワークに持たせた機能を監視するのに有効なツールだ。
オンプレミスのインフラで5Gを使用するメリットは他にもある。イーサネットケーブルを機械から取り外せることがその一例だ。これによって機械の可動性を制限する必要がなくなる。「5Gネットワークに接続する機械は工場内のどこへでも移動できるため、製造ラインを再編する際に便利だ」とコーエン氏は言う。
第3回は、スマート工場に関するFord MotorとMercedes-Benzの取り組みを紹介する。
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