炭素排出量の少ないソフトウェアは消費電力やクラウドの使用料金にも影響がある。Azureの異なるインスタンスで同じワークロードを実行すると大きな差が生じた。つまりコスト削減につながるということだ。
Microsoft、Accenture、Thoughtworks、NTTデータが、ソフトウェアにおける持続可能性の育成を目指す業界イニシアチブ「Green Software Foundation」を創設した。同イニシアチブは、ソフトウェア利用時の炭素排出量を測定する「Software Carbon Intensity」(SCI)の初期仕様を公開した。
ソフトウェア開発の原則の一つに「車輪の再発明をしない」がある。全てのコードを自身で書くのではなく、既存のソフトウェアライブラリを利用することを奨励する。だがライブラリは貴重な時間の短縮にはなるが、実際に必要とするよりも過剰なコードや多くの機能が提供されることがある。その結果、特定の問題を解決するために一から書いたコードほど効率的ではない可能性がある。それは機能が少ない軽量なソフトウェアライブラリよりも電力を消費し、炭素排出量を増やすかもしれない。
Avanadeのクロス・ロイド=ジョーンズ氏(オープンテクノロジー部門責任者)によると、この仕様はCPUのワークロード使用量とコードが使う電力量の大まかな相関関係を測定する。
IaaSのコストも測定する。CPUやGPUなど、より多くのクラウドリソースを使うとアプリケーションの実行コストは高くなる。事実、「Microsoft Azure」の価格(2021年12月時点)に基づくAvanadeのデータは、Azureのインスタンスによって実行するコストと炭素排出量の間に相関関係があることを示した。
あるワークロードをAzureのGPUインスタンス「NC6s_v2」で24時間実行すると91ユーロ(約1万1700円)のコストがかかり、3.3キロワット時の電力を使用する。同じワークロードを「Azure Function」で24時間実行すると、コストは0.51ユーロ(約65円)で使用電力は0.8キロワット時にすぎなかったという。
SCI仕様は「ソフトウェアの総炭素排出量を測定するのではなく、炭素排出量を削減するスコアを提供する」(ロイド=ジョーンズ氏)。つまり、開発するソフトウェアの炭素排出量を削減することで、コードのエネルギー効率を高める方法を見つけることができる。
SCI仕様のもう一つの側面は、電力の大部分が持続可能な方法で生成されているときにワークロードを実行するといった決定を可能にすることだ。そのためには持続可能なエネルギーの生成をリアルタイムに測定できる必要がある。数年先にはこの種の追跡が可能になり、クラウドプロバイダーがエネルギー消費量を追跡できるフックを提供するようになるとロイド=ジョーンズ氏は考えている。
「MicrosoftはAzureの状態をクエリして、コードデプロイの適切なタイミングを判断できる持続可能性計算ツールを用意している」(ロイド=ジョーンズ氏)。ピーク時の電力使用量を考慮して、グリーンエネルギー源からの電力を増やすこともソフトウェアの炭素排出量を改善するのに役立つ可能性がある。
ロイド=ジョーンズ氏によれば、IT部門の多くは実際に必要とする以上のクラウドリソースを購入している。クラウドでは「コストと炭素排出量はほぼ等しい。適切な規模にすれば、コストも炭素排出量も最適化できる」(ロイド=ジョーンズ氏)。
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