多くの企業がITシステムの二酸化炭素排出量を気にしていない。削減するどころか排出量が増加する可能性さえある。だが、将来的にこの姿勢が問われることになるかもしれない。
全世界のデータセンターでは、毎年推定200Tワット/時の電力が消費されており、温室効果ガス排出量は全排出量の5.9%を占めている。
Harvey Nash Groupの「Digital Leadership Report」によると、CEOや取締役会は環境に配慮した技術によって二酸化炭素排出量が改善されることを認識しているものの、ITへの投資拡大を計画しているため排出量がさらに増加する可能性があるという。
Harvey Nashが引用している研究によると、ITやデータセンターが地球温暖化に及ぼす影響は航空機による旅行を上回る。
CIO(最高情報責任者)やデジタルリーダーにとって、ITシステムの二酸化炭素排出量削減は大きな課題になる。だが、データセンターとITシステムのエネルギー消費を削減しようとしていると回答したデジタルリーダーは22%にすぎない。多くのデジタルリーダーや取締役会は、データセンターの二酸化炭素排出量や再生可能エネルギーと化石燃料のどちらで稼働させるかをまだ検討していない。
これはAmazon.com、Apple、Google、Microsoftなどのハイテク大手とは対照的だ。ハイテク大手は既にカーボンニュートラルを実現しているか、実現を目指して積極的に取り組んでいる。
IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)の調査によると、全世界でロックダウンが行われた2020年2〜4月はインターネットトラフィックが40%増えた。
IoT(モノのインターネット)、機械学習などの技術は製造システムからのリアルタイムのフィードバックを企業に提供する。その結果、エネルギー消費量を削減しつつ機械の寿命を延ばすことができる。不要なメールをやめる、エネルギーをあまり使わない検索エンジンを利用する、PCのライフサイクルを延長するといった小さな行動を企業全体で積み上げることも可能だ。
同レポートは、持続可能性(サステナビリティー)が間もなくビジネスの必須事項になると予測している。「ITには果たすべき役割がある。デジタルリーダーは二酸化炭素排出量に大きな影響を及ぼす可能性がある」と話すのは、Harvey Nashのベブ・ホワイト氏(CEO)だ。
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