2020年07月20日 08時00分 公開
特集/連載

メリットが多いデータセンターの液冷化を阻む高くて単純な壁データセンターの液冷化【後編】

データセンターの液冷化には地域の省電力化など多くのメリットがある。にもかかわらず液冷化が進まないのはなぜか。理由は非常に単純明快だ。

[Caroline Donnelly,Computer Weekly]
iStock.com/galitskaya

 前編(Computer Weekly日本語版 7月1日号掲載)では、液冷システムの普及肯定論と懐疑論を紹介した。

 後編では、液冷化による環境への影響や経済的な分岐点について解説する。

液冷の環境的実現性

 世界中のデータセンターで実際に液冷が普及した場合、環境にどのような影響があるだろうか。環境にプラスに働く可能性があるという主張もある。

 英ロンドンに拠点を置くデータセンターエンジニアリングシミュレーションソフトウェアプロバイダーのFuture FacilitiesのCTO(最高技術責任者)マーク・シーモア氏は、HPC環境で液冷がこれほど人気になっている理由の一つは、従来の空冷システムよりもはるかにエネルギー効率が優れているためだと述べる。

 同氏は本誌のインタビューに答えて次のように語った。「主な理由は、このような高い電力密度を空冷システムで冷却するのは不可能ではないにしても難易度が高いためだ。液冷を導入した施設の大半は、空冷よりも電力消費が大幅に低下すると報告されている。その結果運用コストが削減され、必然的に環境的メリットももたらされる」

 データセンターから排熱物を輸送する上でも空気より水の方がはるかに優れている。副産物である排熱物を再利用する新たなチャンスも開かれると同氏は説明する。

 冷却システムを通してデータセンターから排出される温風は、英国では特にそうだが通常大気に放出される。これを再利用するのは難しい。北欧諸国の多くは、データセンターが排出する軽く暖められた空気を活用して、家庭やオフィスに暖気を届ける地域暖房システムがある。だが英国にはない。

 こうした暖気は大量に発生するため、データセンターにはそうした暖気用の適切な入れ物が必要となる。暖気を長距離輸送するのはコストが高くつく上に困難だ。

 温水の輸送は比較的簡単だ。液冷を利用すればデータセンターの排熱を再利用できる可能性が生まれる。温水によって、近隣の家庭やオフィスの暖房に必要なエネルギーが減る可能性もあるとシーモア氏は説明する。

液冷の経済的側面を成功させるには

 負荷の高いワークロードを運用していないデータセンターの運営者にとって、液冷システムの導入に伴うコストや複雑さを正当化することは現時点では「非常に困難」だ。




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