「Wi-Fi 6E」がオフィス/家庭用の「無線LAN」ではない理由鍵はAFCとOpenRoaming

Wi-Fi 6Eの利点は6GHzが使えることだ。そして6GHzを屋外でもシームレスにローミングできるようにするAFCとOpenRoamingにより、常に安全なWi-Fi接続が実現する。

2022年01月07日 08時00分 公開
[Joe O'HalloranComputer Weekly]

 Telecom Infra Project(TIP)は通信業界のイノベーションを推進する団体だ。TIPはWireless Broadband Alliance(WBA)およびOpen AFC Software Groupとの協力関係を拡大し、6GHz(欧米では免許不要帯域)のグローバルな採用を支援する。

 この協力関係の目的は6GHz Wi-Fiのメリットを最大化することだ。6GHz Wi-Fiは「Wi-Fi 6E」で提供されており、さらに「Wi-Fi 7」でも利用可能だ。Wi-Fi 6Eは最大160MHzのチャネルと最大9.6Gbps(Wi-Fi 5は3.5Gbps)のデータ転送レートと、特に多くの端末が接続する環境では信頼性の向上、遅延の減少、ネットワーク効率の向上を実現するとされている。

6GHzの開放は必須

iStock.com/scanrail

 WBAによると6GHzを使用可能にする勢いは「紛れもなく」、6GHzを免許不要にしている国は世界40カ国以上に上り、「他の多くの国もこの帯域の開放に取り組んでいる」という。これらの国の多くは「Open AFC」の価値を認識しているとWBAは補足する。

 Open AFCの目標は、AFC(自動周波数調整)システムのオープンソースレファレンス実装を開発することだ。Open AFCにより、免許不要の6GHz機器が屋外でも運用可能になる。AFCシステムで6GHz Wi-Fiを活用すれば、「WBA OpenRoaming」(訳注)によるパブリックWi-Fiのメリットを享受できるとWBAは考えている。例えば、プライバシーとセキュリティの管理やシームレスな自動オンボーディングが可能になる。

訳注:WBA OpenRoamingについては「Wi-Fiの安全な相互接続を目指すWBA OpenRoaming」も参照。

 WBA OpenRoamingは携帯電話回線とWi-Fiのギャップを埋めるためにWBAとWi-Fi Allianceが策定した標準で、ゲストWi-Fiネットワーク間やパブリックWi-Fiスポットとローミングする際にシームレスな接続を提供する。モバイルローミングの利便性とWi-Fi 6接続を組み合わせ、端末は安全かつ自動的にWi-Fiネットワークに接続できる。ユーザーはログインを繰り返すことなくホットスポット間をシームレスにローミング可能だ。

 Open AFCは「TIP OpenWiFi」も補完する。TIP OpenWiFiはWi-Fiソフトウェアのオープンソース実装で、Wi-Fiの構築およびデプロイ方法を見直し、Wi-Fiサービスプロバイダーがさまざまなサプライヤーのアクセスポイント、クラウドコントローラー、スマート分析を展開できるようにすることを目的とする。

 WBAのティアゴ・ロドリゲス氏(CEO)は言う。「6GHzの接続性と経済的メリットを最適化しながら、この帯域を公正かつ公平に利用する必要がある。WBA OpenRoamingを導入しているネットワークを含めて、Open AFCはWi-Fi業界全体にメリットをもたらすだろう。Open AFCはWi-Fiを強化し、スタジアム、家庭、企業、学校、病院などでセキュアかつ優れたブロードバンドエクスペリエンスを提供する」

 Open AFC Software Groupのクリス・シマンスキー氏(共同議長)は次のように補足する。「AFCは6GHz Wi-Fiの将来に不可欠だ。Wi-Fi機器はAFCによって優れた受信域を提供し、屋外でも動作可能になる。WBAは通信事業者がプロビジョニングするWi-Fiの改善を重視している。AFCはそれにうまく適合する」

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