「それ、うれしいか?」と困惑するしかないメタバース事例集仕事で使うメタバース【後編】

メタバースはまだ初期段階だ。分かっている。没入型仮想オフィスも有望だろう。メタバースの今後の進化に期待する。

2022年01月12日 08時00分 公開
[Louella FernandesComputer Weekly]

 前編(Meta、Microsoft、NVIDIAのメタバースは「Second Life」の二の舞!?)ではビジネス視点でMeta、Microsoft、NVIDIAのメタバース戦略を紹介した。後編では業務や産業に導入されつつあるメタバースを紹介する。

 エンタープライズメタバースの実現にはデジタルツイン技術、IoTセンサー、複合現実が必要だ。その結果、物理的相互作用とデジタル相互作用の双方を可能にするワークスペースを作成する機会がもたらされる。

期待の没入型仮想オフィスがもたらす苦痛

iStock.com/narith_2527

 メタバースが仕事の定義をどのように変えるかは時がたてば分かる。物理世界とデジタル世界が曖昧になっていくことは既に目の当たりにしている。サプライヤーは、働き手が求める技術の俊敏性と柔軟性を提供できなければならない。

 VRやARがオンラインゲームの領域を超えているのは間違いない。企業が仮想オフィスの開発を視野に入れているのであれば、メタバースは対面でのやりとりを複製するという課題に答えをもたらす可能性がある。占有監視、ホットデスク予約、スマートヒーティングなどの分野に対応するデジタルツールをベースに、手間の掛からないオフィス空間を作成しようとしている企業も既にある。

 テレワーカーとオフィスワーカーに没入型のエクスペリエンスを生み出すことで従業員エクスペリエンスを改善し、異なる場所で働く人々の作業現場を平準化できる。データとプライバシーに関する懸念が問題になるのは間違いないが、従業員をオフィスに戻す効果的なコラボレーションを育む一つの方法になる可能性がある。

 現在のVRはまだ準備が足りないかもしれない。ヘッドセットを1時間以上装着するのは面倒だ。軽量で効果的なAR眼鏡が適正価格で買えるようになるまでは、ARは技術愛好家や専門的なニーズを有する人々向けの環境であり続けるかもしれない。顔があまり似ていない漫画っぽいアバターやホログラムと本当にやりとりしたいだろうか。全てのやりとりが追跡、監視されるのだろうか。

メタバース活用を始めている産業界

 ARの真の潜在能力は、予測分析などの分野で既に実現している。機器が故障する可能性が高いのか低いのかを機械学習で予測して高いのであれば交換する。この分野にメタバースを利用して、機器が故障する可能性が高い時期を特定できる。メタバースによってエネルギーの使用が最適化され、予測中に起こるダウンタイムを削減することも可能だ。

 印刷業界でもARを応用し始めている。HPは2021年11月9日、産業用プリンタをターゲットにした「HP xRServices」(「Microsoft HoloLens 2」搭載)を発表した。HP xRServicesは仮想世界と現実世界の組み合わせを生み出す。印刷物作成のどの時点でも、顧客はその世界でHPのエンジニアとつながり、複合現実を使ってあらゆる問題に関するアドバイスを受けることができる。

 「Xerox CareAR」は顧客、従業員、現場作業者にリモートビジュアルARサポートを提供できる。

 メタバースはディストピアなのかどうかはともかく、まだ初期段階だ。多くの技術と同様、メタバースは急速に成熟するかもしれない。ビジネスチャンスは広大だ。ハイテク大手とターゲットを絞った小さなプレイヤーによる大きなエコシステムがメタバースに投資することに期待する。

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