炭素排出量の削減は今後の企業価値に直結してくる。ITによる排出量の把握も必須になるだろう。Googleは炭素排出量を可視化し、排出量の削減を支援する機能を提供する。
前編(企業に迫られる脱炭素化の取り組みを支援するMicrosoft Azure)では、Microsoftの炭素排出量追跡ダッシュボードを紹介した。後編ではGoogleの取り組みを紹介する。同社は「Google Cloud Platform」(GCP)で企業の脱炭素化を支援する取り組みを展開している。
Googleは、2030年までにカーボンレガシーを排除してデータセンターからオフィスまで全てをカーボンフリーエネルギーで運用すると発表(2020年9月)。同時に、GCP利用が環境に与える影響を測定するツールの開発に取り組んでいることも明らかにした。
これらの一部は既に日の目を見ている。GCPは2021年3月、「カーボンフリー達成度」指標を公開した。この指標はGCPユーザーへの電力供給に再生可能エネルギーがどの程度使われているかをユーザーに提示する。このデータを使って、持続可能性の観点から自社ワークロードの運用先を選択できる。
2021年10月の「Google Cloud Next」では、GCP利用が環境に与える影響を最小限に抑えるためのツール「Carbon Footprint」が発表された。GCPユーザーは無料で利用できる。同ツールはGCPを利用することで生み出される炭素排出量を追跡し、レポートする。
「環境社会やガバナンスの報告についての要件が高まる中、企業は目標への進捗(しんちょく)を従業員、経営陣、顧客に提示する方法を模索している。Carbon Footprintを使えば、社内外への開示に必要な排出量データにワンクリックでアクセスできる」
「Carbon Footprintを利用して排出量をプロジェクト別、製品別、リージョン別に監視し、排出量を削減するのに役立つ指標を提供できる」(Google)
アイドル状態のインスタンスの存在とそのインスタンスが排出している炭素量をGCPユーザーに警告する機能もある。これでアイドル状態のインスタンスを排除することが排出量の抑制にどの程度貢献するかを把握できる。この機能は「Active Assist Recommender」サービスに含まれる。
「こうしたインスタンスを削除すれば、コストやセキュリティリスクを軽減するだけでなく、炭素排出量も削減できる。2021年8月にActive AssistでGCP全体のデータを分析したところ、クリーンアップまたは再利用が推奨されるプロジェクトに関係する排出量が600トンCO2eを超えていた。こうしたプロジェクトを削除すれば排出量を大幅に削減できる」
AlphabetのCEOサンダー・ピチャイ氏はGoogle Cloud Nextの基調講演で、Googleの持続可能性の取り組みを「誇りに思う」と語った。
「Googleは2007年以降カーボンニュートラルを達成し続けている。そして4年連続で100%再生可能エネルギーを使って事業を運営している」
だが気候変動への取り組みはGoogleだけでは実現でない。「気候変動は世界が直面する最も深刻な問題の一つだ。これを解決するには全世界が協力する必要がある」
「IDCの予測によると、今後4年間にわたるクラウド移行によって炭素排出量を10億トン以上削減できるという。この量は、2億台の自動車を1年間路上から締め出すことに相当する」(ピチャイ氏)
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