言語やフレームワークのバージョンアップ対応を自動化するOpenRewrite「動かすための修正」を削減

開発者なら、言語やフレームワークのバージョンアップへの対応に追われた経験があるだろう。記述方法の変更や関数の追加・廃止といった仕様変更に伴うコード修正を自動化できるとしたらどうだろうか。

2021年12月15日 08時00分 公開
[Adrian BridgwaterComputer Weekly]

 Moderneは、言語やフレームワークのバージョンアップに伴うコードの修正と移行を自動化することでソフトウェア開発の速度を上げることに取り組んでいる。

 ここ10年でソフトウェア開発は大きく変化した。全てを内製するわけではなくなり、オープンソースやサードパーティーのコンポーネントを組み合わせるようになった。こうしたソフトウェアをメンテナンスするには、使っているコンポーネントに行われる変更に対応し、CVE(Common Vulnerabilities and Exposure:共通脆弱[ぜいじゃく]性識別子)を追跡し、何千ものAPIを管理する必要がある。

OpenRewriteの威力

iStock.com/monsitj

 メンテナンス作業は開発チームの時間を最大で30%も占めると推定され、イノベーションとソフトウェア品質の足かせになっている。コード量の増加、多様性の拡大、速度の向上によって問題は悪化し続けている。

 こうした問題に取り組むため、ジョナサン・シュナイダー氏とオルガ・クンジッチ氏が設立したのがModerneだ。Moderneの技術はシュナイダー氏がNetflix在職中に(当初はJavaで)開発した大規模自動リファクタリングツール「OpenRewrite」をベースとする。

 ModerneはOpenRewriteの対象範囲を拡大して、言語のバージョンアップ(Java 8から11へなど)やフレームワークの移行(「Spring Boot」の1から2へ、「JUnit」の4から5へなど)、脆弱性の解決、カスタム変換をこれまで以上に容易にする高度なビルディングブロックの作成を可能にする。

 Moderneは「Kubernetes」「YAML」「XML」のリファクタリングを備えたIaC(Infrastructure as Code)を手始めに、Java以外の言語への拡大にも着手している。

 「当社はオープンソースソフトウェアやベンダーのAPIなどのビルディングブロックを統合することで作成速度を向上させている」と話すのは、Moderneの共同創設者でCEOのシュナイダー氏だ。

 「アップグレード、CVEのパッチ適用、内部APIなどの面倒なコードメンテナンス作業の自動化を開発・配布するにはオープンなエコシステムが必要だ。複雑さを増すリファクタリング操作がコミュニティーによって組み立てられ、多くのコードでその操作が検証されることでしか解決できない」

秘密のソースレシピ

 OpenRewriteはコードの検索または変換の操作を「レシピ」と呼び、メソッドの検索、メソッドの変更、推移的な依存関係の検索、アップグレード、依存関係の除外など、多くのビルディングブロックレシピを提供する。これらのレシピを組み合わせてグループ化することで、より複雑なレシピを組み立てることもできる。

 ビルディングブロックが不十分であれば、変換対象のコードと同じ言語を使ってプログラムとしてレシピを作成することも可能だ。これにより、開発者が使い慣れた言語を駆使して複雑なロジックをカプセル化できる。こうしたビルディングブロックによって多くの詳細を抽象化し、ソースコードに加える編集がプロジェクト本来のスタイルに従うようにする。

 ModerneのSaaSソリューションは、大規模なコードベース全体にOpenRewriteのレシピを当てはめ、数百万行にも及ぶコードを数分で検索し、変換する。

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