画像や動画を中心とするWebコンテンツが普及するにつれ、CDNを利用する企業の動きが広がってきた。なぜ、さまざまな企業がCDNに頼るようになったのか。CDNを使わないことによるリスクとは。
近年さまざまなメディアが普及したことで、「コンテンツデリバリーネットワーク」(CDN)の重要性が増している。企業にとって以前は“役に立つ”程度の存在でしかなかったCDNは、“必要なもの”になった。
基本的には、CDNとはエンドユーザーにWebサイトやアプリケーションなどのコンテンツを効率良く配信するための仕組みであり、各地に分散するサーバ群が相互に連携し合うことによって構成するネットワークを指す。ただし企業の利用が広がると同時にCDNの多様化が進んでおり、一言では説明できない状況になっている。
CDNはエンドユーザーとサーバ間の物理的な距離を短縮することで、Webアプリケーションや動画ストリーミングなどのコンテンツをできるだけ短時間で転送することを基本的な目的とする。逆の言い方をすれば、転送に使うネットワークの物理的な距離が長くなるほど、配信に要する時間も長くなる傾向にある。その結果としてエンドユーザーの端末にコンテンツが表示されるまでの時間が長くなり、企業が顧客を失ってしまうリスクを招く。CDNは、こうしたリスクを軽減するのに役立つ。
インフラ構築の効率性の観点でもCDNのメリットがある。CDNを使うことで各データセンターはネットワーク帯域をより効率良く使用できるようになり、インフラのコスト効率が高まる可能性がある。これはさまざまな業界と規模の企業が享受できるCDNの利点だ。
CDNベンダーは多彩で、グローバル展開するベンダーから特定の国や地域に特化したベンダーまで幅広く存在する。高画質の画像や動画などのリッチメディアの利用が広がることを背景にして、リッチメディア配信の最適化に特化するベンダーもある。
以前は、CDNの顧客と言えばメディア企業やソフトウェア配信会社が中心だったが、さまざまな業界がCDNを必要とするようになった。それに応じてCDNの機能も多様化してきた。従来のCDNはエンドユーザーの近くで静的コンテンツ(常に内容が変わらないコンテンツ)をキャッシュ(一時保管)することに主眼を置いていた。近年のCDNは動画のストリーミング配信やセキュリティ対策、利用傾向の分析など、幅広い機能を提供する。
企業がコンテンツ配信用のインフラを自ら構築することは簡単ではない。コンテンツ配信をCDNベンダーに肩代わりしてもらうことで、企業は自社インフラ構築にかかるコストと作業を回避できる。事業規模の小さな企業でも、CDNを利用することで高速なレスポンスやフォールトトレランス(障害発生時も稼働を継続可能)な接続性を提供でき、それと同時にエンドユーザーに対して「大きい企業だ」という印象を与えることができる。CDNの料金体系は、基本は従量制を採用しているので、小規模な企業にとっても利用しやすい。ブログ1つの非常に小さな事業規模でも利用可能だ。
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