セキュリティなど周辺機能に脚光
「コンテンツデリバリーネットワーク」(CDN)が急成長している理由
優れたネットワークパフォーマンスと拡張性を追求する企業は、コンテンツデリバリーネットワーク(CDN)ベンダーに、これまでとは異なる支援を求め始めている。
インターネットでのコンテンツ配信を最適化する「コンテンツデリバリーネットワーク」(CDN)市場が、幅広く進化している。企業がますます多くのビジネス基盤をクラウドに移す中、CDNに対するニーズが高まっているためだ。
世界に散在するPoP(配信サーバの所在地:Point of Presence)にコンテンツをキャッシュするという、基本的なCDNを企業が頼りにするのは変わらない。CDNベンダーの間では、Webパフォーマンスを他の方法で強化する動きがある。セキュリティ対策や動的メディア配信などが、その例だ。
こうした変化の中、新しい独創的なビジネスモデルを立ち上げるCDNベンダーもある。これらのビジネスモデルは、ターゲットの顧客層には魅力的だろう。
CDNでは、世界中のPoPに配置された多数の分散サーバから、Webページや動画、Eコマースアプリケーション、ダウンロード対象のソフトウェアなどのコンテンツを配信する。エンドユーザーのなるべく近くに配置されたPoPからコンテンツを配信することで、遅延を最小限に抑え、トラフィックの負荷を和らげる。
基本的なCDNの目的は、以前から変わらない。最近の動きは、クラウドサービスが頻繁に使われるようになり、モバイルデバイスの利用が広がったことで、コンテンツ配信の最適化を求めるアプリケーション開発者のニーズが高まっていることだ。
こうした後押しを受けて「ネットワークのパフォーマンスと拡張性を強化するCDNに対する需要が伸びている」と、調査会社Gartnerのクラウドサービスベンダー部門でリサーチ担当バイスプレジデントを務めるテッド・チェンバレン氏は説明する。
企業は自社のWebサイトをできるだけ活発化させる必要がある。そうした中で直面するさまざまな問題に目を向け、CDNベンダーに支援を求めているという。「ユーザー企業は『他に何かできることはあるか』と尋ねている」(チェンバレン氏)
CDNベンダーはユーザー企業のニーズに応えるべく、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)や分散型サービス拒否(DDoS)攻撃からの保護、bot対策、動画ストリーミング、Eコマース最適化などの機能をクラウドサービスとして提供している。
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セキュリティ対策としてのCDN
急成長するCDN
全体的には、CDNは急成長の時期に入っている。調査会社MarketsandMarkets Researchの予測によると、2017年に約75億ドルだったCDN市場の規模は、2022年には約300億ドルにまで成長する。その背景にあるのは、CDNベンダーがセキュリティ、圧縮、動画、Web最適化、データ重複排除といった周辺機能を重視していることだ。
調査会社451 Researchでシニアアナリストを務めるクレイグ・マツモト氏も、同じ意見を持つ。マツモト氏は今後4年にわたって、CDN市場全体が大幅な成長を続けると主張する。セキュリティサービスの伸びが最も大きく、年平均成長率は25.3%になると、同社は推定する。
Webサイトの要素が複雑になるにつれ、エンドユーザーの近くでコンテンツをキャッシュするだけでは、十分なパフォーマンスが得られなくなっているとマツモト氏は話す。例えば主要なニュースサイトでは、Webページ内の要素が100種類を超えることがあり、画像、動画、広告を全て読み込まなければならない。「本当に複雑になっている」と同氏は語る。
パフォーマンスの影響を大きく受けるのが、動画のストリーミング配信だ。「Netflix」「Hulu」などの動画配信サービスは、最適化の推進役としての役割を果たすCDNベンダーを求めていると、チェンバレン氏は言う。
「セキュリティも企業にとって重要性を増している」と話すのは、米サンフランシスコにあるCDNベンダー、Cloudflareで製品部門の責任者を務めるジェン・テイラー氏だ。「顧客はパフォーマンスが必要だと分かっている。ただしセキュリティを犠牲にすることは考えていない」とテイラー氏は述べる。そのニーズに応えるために同社は、DDoS攻撃からの保護といったセキュリティ対策機能を提供している。
テイラー氏によると、インフラがますます複雑になる中で、ユーザー企業はCDNの管理がもっと簡単になることを期待しているという。
「データへのアクセスに対するニーズの高まりから、CDNベンダーの支援策に対するユーザー企業の見方が変わっている」。米国サンフランシスコに拠点を置くCDNベンダーのFastlyで、パートナーシップ部門の責任者を務めるリー・チェン氏は、そう語る。
Fastlyのユーザー企業が主に、従来型のCDNを求めている状況自体は、以前と変わらない。その上で、プログラム可能なネットワーク(プログラマブルネットワーク)の開発について支援を要求されることが増えているという。同社はCDNのAPIへのアクセス権を開発者に提供することで、こうしたニーズに応えている。
チェン氏はFastlyのユーザー企業である、ホテル予約サービス運営のHotel Tonightを例に挙げる。Hotel Tonightのモバイルデバイス向けアプリケーションでは、旅行者がホテルの評価と予約オプションを確認できる。スマートフォンのGPS(全地球測位システム)機能を使用することで、アプリケーションはモバイルデバイスから特定距離内に存在する、空室のあるホテルを特定できる。距離が離れ過ぎていたりして役に立たないホテル情報は、アプリケーションが除外する。それによりネットワーク負荷を軽減し、エンドユーザーへの応答時間を改善できると、同氏は説明する。
CDNの新しいビジネスモデル
CDNベンダー各社は、IT環境の変化に合わせて自社サービスを拡張するために、独創的なビジネスモデルを開発している。
Instart Logicは、米カリフォルニア州パロアルトに本社を置くCDNベンダーだ。同社は分析を利用することで、同社のCDN経由でWebページへアクセスしたデバイスを把握している。これらのデバイスが同じページに再度アクセスすると、Instart Logicのシステムによって不要なJavaScriptやページ要素が自動的に取り除かれる。「これは配信時間をミリ秒単位で削ぎ落とす工夫だ」(同氏)
Cloudflareは、セキュリティを基本サービスとして重視する。Gartnerのチェンバレン氏によると、その方針のおかげでCloudflareは重要な存在になっているという。Cloudflare独自のプランも、あらゆる規模の企業にメリットがあると同氏は話す。Cloudflareは個人のWebサイトから大手企業まで、4種の異なるレベルのユーザーを対象としたプランを用意し、月額固定のサブスクリプション料金を採用している。
最終的には、CDN市場自体を再分類する必要があるだろうとチェンバレン氏は話す。企業はCDNベンダーにより多くのことを要求し始めている。そのためCDN市場には「セキュリティ、ルーティング、動画など、全てのデジタル体験を網羅した新しい用語が必要になる」と同氏は付け加える。
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