Spotifyのクラウド移行の現状を、同社バイスプレジデントのハルトー氏にインタビュー。同氏は、SpotifyがGoogle Cloud PlatformにITインフラを統合する理由も語った。
Spotifyは本誌Computer Weeklyに、ITインフラを「Google Cloud Platform」へ統合する作業はどこまで進んだのか、そしてマルチクラウド戦略が同社には適さなかったのはなぜかを率直に語ってくれた。
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同社は、事業運営の基盤としてきた自社所有のデータセンターを閉鎖し、バックエンドインフラをGoogleのパブリッククラウドに移行する計画だと2016年2月の時点で語っていた(編注)。
編注:「音楽配信サービスSpotifyのGoogle Cloud Platform移行に残る謎」(4月20日号:多くの企業がやっているセキュリティミステイクに収録)。
2016年10月に英ロンドンで開かれたGoogle Cloud Platformのユーザーカンファレンス「NEXT London 2016」で、Spotifyのインフラ担当バイスプレジデント、ニコラス・ハルトー氏はComputer Weeklyのインタビューに応じて、移行させなければならない個別のマイクロサービスが250~300個に上るため、移行プロセスの完了までしばらくかかりそうだと語った。
「世界中でデータセンターのフットプリントを管理するのは、少し前ならやらざるを得ないことだった。だが、もはや自前で実行する必要はなくなった。現在の状況でその管理をしなければならない、確固たる理由はないと思う」と同氏は主張する。
こうしたマイクロサービスが集合体として貢献し、同時にSpotifyの原動力となっている「ビジネスロジック」を保証することで、同社は時代の最先端を行く事業を継続している。
「マイクロサービスと一口に言っても、その機能は多岐にわたる。一例を挙げると、全てのユーザーアカウントを保持して、プレイリストに適切なメタデータ、例えばSamsung TVなど特定の機器向けであるといった注釈を付けているアカウントに渡す機能を持つものがある」とハルトー氏は説明する。
「それ以外には、ストレージコンポーネントを含むサービス、ステートレスなサービス、ある製品の特徴的な機能を受け持つサービス、対照的に極めて汎用(はんよう)的なサービスなどもある。われわれは世界中どこであろうと、こうしたサービスのインスタンスを顧客のいる場所に拡散して届けている」
同社の場合、ユーザーがいる任意の場所の近くでサービスを実行し、Spotifyの使用中は応答時間に時差がないことを保証しなければならない。従って、クラウドを業務システムの基盤とするのが合理的だと同氏は説明する。
一方、サードパーティーのContent Delivery Network(CDN)への依存を継続して、ユーザーがいる場所の近くでコンテンツをローカルにホストしてもらっているのには他にも理由がある。
「ニルヴァーナでもジャスティン・ビーバーでも、ユーザーが好きな曲をクリックして再生すると、インターネット上のどこかからそのコンテンツをフェッチ(取得)して、ユーザーのスマートフォンに戻すという流れになる」とハルトー氏は話す。
「この目的を果たすため、CDN分野で最高のプロバイダーと提携するという戦略を取っている。例えばAWS(Amazon CloudFront)、Fastly、Akamaiなどと提携しているのはそんな理由からだ」
ところで、Spotifyは複数のプロバイダーのパブリッククラウドサービスを併用しているが、これを現状以上に拡大することには興味がないとハルトー氏は語る。
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