“専用”と“汎用”のクラウド比較【後編】
「CDN」「PaaS」はAWS、Azure、GCPとニッチクラウドのどれを選ぶべきか
「CDN」や「PaaS」は、AWSやAzure、GCPといった「ハイパースケールクラウド」だけにあるわけではない。より小規模な「ニッチクラウド」にも選択肢はある。どのような視点で選定すべきか。
クラウドサービスは特定の目的に特化した小規模な「ニッチクラウド」と、Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft、Googleといったベンダーが提供する、汎用(はんよう)的かつ大規模な「ハイパースケールクラウド」の2種類に大別できる。ニッチクラウドとハイパースケールクラウドは、それぞれ長所と短所を持つ。
前編「『ニッチクラウド』と『ハイパースケールクラウド』の4つの違いとは?」と中編「『クラウドストレージ』3大選定ポイント AWS、Azure、GCPかニッチクラウドか」に続く本稿は、「CDN」(コンテンツデリバリーネットワーク)と「PaaS」(Platform as a Service)の観点から、ニッチクラウドとハイパースケールクラウドを比較する。
CDN
ハイパースケールクラウドベンダーのAWSとMicrosoft、Googleは、それぞれ「Amazon CloudFront」「Content Delivery Network」「Cloud CDN」といったCDNを提供している。CDNによってコンテンツを配信する際のパフォーマンスが向上し、送信時間を短縮できる。Akamai TechnologiesやCloudflare、Fastlyなど、CDN専門のベンダーも存在する。
CDN専門のニッチクラウドは、大規模なユーザー企業向けに個別にカスタムした料金プランを提供することがある。一方ハイパースケールクラウドのCDNは、関連するデータやシステムが同一クラウドサービスにある場合、関連するデータ転送料金を請求しない。例えばAWSのクラウドストレージ「Amazon S3」のバケット(データの格納場所)にデータを保存している場合、Amazon CloudFrontでそのデータを利用するときに料金は発生しない。
ニッチクラウドは、ハイパースケールクラウドでは利用できない追加機能も提供している。例えばFastlyは開発者がデータとアプリケーションの地理的配置を最適化するのに役立つ特別なツールを提供する。高度なパフォーマンスを必要とせず、小規模のCDNで十分な場合でも、通常は料金と機能の比較に基づけば、ハイパースケールクラウドの選択が最適だ。ニッチクラウドは、より広範な用途に対処する。
PaaS
GCPの「Google App Engine」のように独立して機能するPaaS(Platform as a Service)もあれば、Azureの開発者ツール群のように、自身でPaaSを構築するためのサービスもある。独立して機能するPaaSの選択肢はニッチクラウドにもある。salesforce.com(Salesforce)の「Heroku」とNetlifyの同名サービスは最もよく知られているPaaSの一例だ。
ニッチクラウドのPaaSは、さまざまなオプションを提供するハイパースケールクラウドが提供するPaaSと比べて、オープンソースの技術を用いたサービスなど他ベンダーのサービスとの連携機能が不足する傾向にある。レガシーな技術や特定の機能を使ったり、料金を抑えたりするためにニッチクラウドのPaaSを利用することは有効だが、そうでなければハイパースケールクラウドのPaaSを選べばよい。
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