「Windows 10X」の正体【前編】
「Windows 10X」とは? デュアル画面向けの新たなWindows
Windowsの新バージョン「Windows 10X」は、「Surface Neo」をはじめとしたデュアルディスプレイを持つデバイスに搭載される。Windows系のOSとしてどのような位置付けになるのだろうか。
「Windows 10」のデュアルディスプレイ搭載デバイス向け新バージョンが「Windows 10X」だ。「MicrosoftにとってWindows 10Xは、広く普及した『Windows』シリーズの“現代化”を図る取り組みの一環だ」と見て、その機能の一部が本流のWindowsにも持ち込まれる可能性があると考える専門家もいる。
大胆な変革に乗り出したMicrosoft
企業がデュアルディスプレイというデバイスの形態を受け入れるかどうか。Windows 10Xが成功するかどうかは、それにかかっていると言える。
MicrosoftがWindows 10Xの一般提供を開始するのは、2020年秋になる見込みだ。まずはMicrosoftのデュアルディスプレイ搭載デバイス「Surface Neo」がWindows 10Xを搭載する。Surface NeoはタブレットとノートPCを組み合わせたようなデバイスで、「Surface」シリーズの新モデルとなる。MicrosoftはそうしたWindows 10X搭載デバイスをWindows 10搭載PCの代替ではなく、共存する存在として位置付けている。
Windows 10Xは、Windows 10ユーザーが慣れ親しんだユーザーエクスペリエンスを提供する一方で、Windowsとは異なる特徴も持つ。Windowsのアプリケーションを利用できる点は同じだが、コンテナを使ってアプリケーションとOSを切り離している点が異なる。MicrosoftはWindows 10XではOSの更新プログラムの適用を合理化するとも説明している。更新プログラムの適用はわずか90秒で完了するという。
新しい形態のデバイス向けOSを開発するというMicrosoftの決断について、調査会社Enterprise Strategy Groupの上級アナリスト、マーク・ボウカー氏は「前向きな決断だった」と評価する。自分に適したデバイスを使い、適したやり方で働きたいという人々の欲求が強まっているからだ。
Windows 10XはMicrosoftの中核的な製品になったSurfaceシリーズの枠を超え、現代のワークスタイルに適合させた製品を出そうとするMicrosoftの試みを物語っている。Windows 10XはWindows 10をベースにしているという点では、既存のデバイスの運用管理やセキュリティ対策の枠組みの中にはめ込むことは難しくない。そのため新しい形態のデバイスを採用するのであれば理想的な特徴を持つ。「新種のデバイスの利用を模索するという動きの中で、Microsoftがユーザー企業にひらめきを与えてくれることを期待したい」とボウカー氏は語る。
ここ数年でMicrosoftはWindowsに幾つかの変化をもたらしてきた。ただし常に目に見えるほどの変化をもたらしたとは言えない。調査会社Gartnerでアナリストを務めるスティーブ・クレインハンズ氏は「これほど広く採用されているOSを大胆に変えるのは簡単ではない」と話す。世界中でWindowsは数え切れないほどのデバイスに登載され、さまざまなアプリケーションを実行している。それを前提にした上で、クレインハンズ氏は「MicrosoftがWindowsを進化させ、大きな変化をもたらそうと思えば、ある種の抵抗に遭うだろう」と語る。
Windowsがあまりに広く普及したため、それがMicrosoftの前進を踏みとどまらせている可能性もある。実際、Windowsを大胆に変えようとするMicrosoftの過去の取り組みは失敗に終わる傾向があった。Arm製アーキテクチャ(Armアーキテクチャ)を採用したプロセッサ向けのOS「Windows RT」や、機能に制限をかけることでセキュリティの強化とシステム稼働の安定性向上を目指したWindows 10の「Sモード」などがその一例だ。
デュアルディスプレイというデバイスの新しい形態に対するニーズは、これまでのPCとは異なる。そのためMicrosoftはこれまでの同社の実績や製品にはとらわれずに、Windows 10Xを中心とした新たな取り組みを推進できる。
Surface Neoのような新タイプのデバイスに脚光を浴びせるためには、それに適した新しい種類のアプリケーションが必要だ。「エンドユーザーが新しいやり方でデバイスを操作しなければならないのであれば、ある意味では新しいOSを立ち上げる上ではプラスに働くだろう」とクレインハンズ氏は語る。
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