“宝石のようなヴイエムウェア”はブロードコムに買収されて本当に幸せか?BroadcomによるVMware買収 その影響は【後編】

BroadcomによるVMware買収は、VMwareにとって、またVMware製品のユーザーにとって幸せなことなのか。もしそうではないとすれば、それは誰のため、何のための買収なのか。アナリストの見解は。

2022年06月24日 23時15分 公開
[Ed ScannellTechTarget]

関連キーワード

VMware


 仮想化の雄、VMware(ヴイエムウェア)の買収で合意した半導体ベンダーのBroadcom(ブロードコム)。VMwareの事業が、Broadcomの既存事業にどのように組み込まれるのか。CA TechnologiesやSymantecといった、Broadcomが買収したベンダーや製品とのシナジー(相乗効果)は生まれるのか。アナリストの見解はさまざまだ。

困惑のヴイエムウェア買収 ブロードコムの目的は“あれ”なのか

 調査会社IDCのリサーチディレクター、ゲイリー・チェン氏は、今回の買収はVMwareにとって「奇妙な結果だ」と述べる。VMwareは「業績が大きく落ち込んでいるわけではない」(チェン氏)からだ。

 BroadcomがVMware買収に動いた理由は何なのか。「CA TechnologiesやSymantecの買収時と同様、壮大な技術的ビジョンの実現ではなく、財務的なメリットによるものだ」。調査会社Futurum Researchのプリンシパルアナリストで、マーケティング支援を手掛けるBroadsuite Media GroupのCEOであるダン・ニューマン氏はこうみる。

 ニューマン氏は、BroadcomのCEOであるホック・タン氏を「“財務エンジニア”だ」と説明する。「タン氏は強力なキャッシュフローを生み出す買収について、賢明な判断を下すことができる」とニューマン氏は語る。

 「Broadcomにとって良いことでも、VMwareユーザーを含む他の人々にとって良いことなのかどうかは分からない。人々が困惑しているのはそのためだ」。ニューマン氏は今回の買収についてこう語る。

 VMwareのように、特定の市場で強力なパートナーシップとポジションを持つベンダーが、その市場での経験の浅いベンダーによる買収に合意するのは「めったにないことだ」と、調査会社Interarbor Solutionsのプリンシパルアナリストであるダナ・ガードナー氏は語る。ガードナー氏はVMwareについて「クラウドやコンテナ、仮想化といった主要な技術トレンドの最先端で製品を提供してきた実績がある」と評価する。「そのようなベンダーが“門外漢の言いなり”になるのは皮肉なことだ」(同氏)

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news214.jpg

トラフィック1300%増、生成AIがEコマースを変える
アドビは、2024年のホリデーシーズンのオンラインショッピングデータを公開した。

news129.jpg

「ドメインリスト貸し」は何がマズい? サイトの評判の不正使用について解説
「サイトの評判の不正使用」について理解し、正しい対策が取れるにしましょう。

news046.jpg

代理店にもAIにも「丸投げ」はダメ 成果報酬型マーケティングを成功させるポイントは?
「成果報酬型マーケティング」を実現する上でインターネット広告業界が直面する課題とは...