リモートアクセス手段として「DaaS」(Desktop as a Service)と「VPN」(仮想プライベートネットワーク)のどちらを使えばよいのか。検討のためのヒントを説明する。
「DaaS」(Desktop as a Service)と「VPN」(仮想プライベートネットワーク)は、どちらも従業員(エンドユーザー)が自社のシステムにリモートアクセスするための技術だ。ただし大きな違いが幾つかある。IT担当者がDaaSとVPNのどちらを使うかを検討するには、両者の似ている点と違う点を理解し、自社の目的に最適な技術を見極めることが重要だ。
DaaSはデータベースアプリケーションの更新中に、クライアント端末のインターネット接続が切断されても問題にならない。データベースアプリケーションと通信しているのはデータセンターにある仮想デスクトップだ。そのため仮想デスクトップを稼働させるサーバとクライアント端末間の接続が失われても、データベースアプリケーションの処理には直接的な影響は及ばない。
接続が失われた後にエンドユーザーが再度DaaSを起動すると、エンドユーザーは接続が中断したところから作業を再開できる。その際にエンドユーザーは使用するデバイスを切り替えることも可能だ。例えば午前中にデスクトップPCで作業し、午後にノートPCで再開するといったことができる。
VPN(インターネットを利用した「インターネットVPN」を想定)ではインターネットの品質が、社内ネットワークにある業務アプリケーションの速度と動作の安定に大きく影響する。そのためVPNは安定したインターネット接続が必要だ。
例えばエンドユーザーが自社のデータベースアプリケーションにデータのアップロードをしているときにインターネットが切断すると、データベースは同期が取れていない状態になり、データを消失する恐れがある。ただしネットワークで問題が発生しても、クライアント端末内にある業務アプリケーションやドキュメントなどは利用できる。
DaaSとVPNのどちらを使用するかを決める上で重要なのは、利用規模とセキュリティだ。例えばエンドユーザーが、単一の業務アプリケーションにリモートアクセスできるようにする場合を考える。DaaSは一般的にはエンドユーザーごとに仮想デスクトップを設定するので、単一の業務アプリケーションのリモートアクセスに利用する技術としては複雑過ぎる可能性がある。ただしセキュリティを重視するのであれば、このような場合でもDaaSが適した選択肢となる場合がある。
レガシーアプリケーションやデータにリモートアクセスする手段としては、DaaSもVPNも適切な技術だ。例えばMicrosoftのオンラインオフィススイート「Microsoft 365」(「Office 365」)などのクラウドサービスに自社が保有する全てのデータを移行した場合、エンドユーザーはDaaSやVPNがなくても、インターネット経由でデータにアクセスできる。
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