「VPN」(仮想プライベートネットワーク)はリモートアクセスを可能にする基本的な技術だ。その仕組みと、導入と利用の際の注意点とは。
従業員(エンドユーザー)が自社のシステムにリモートでアクセスする手段として、「DaaS」(Desktop as a Service)と「VPN」(仮想プライベートネットワーク)がある。本稿は、VPN(インターネットを利用した「インターネットVPN」を想定)の仕組みを詳しく説明する。
VPNは、2つのネットワーク間に仮想的なトンネルを作成して、両方のネットワークを接続し、データを安全に転送可能にする技術だ。エンドユーザーは業務アプリケーションやデータなどの自社のリソースに、安全にアクセスできるようになる。
エンドユーザーはVPNを利用する際に、クライアント端末に専用ソフトウェアの「VPNクライアント」をインストールする。VPNクライアントを使うことで、インターネットなどの公共のネットワークを利用しながら、自社のネットワークに安全に接続できる。VPNはデータを暗号化して送受信するSSL(Secure Sockets Layer)接続を用いることで、ネットワークセキュリティを確保する。
エンドユーザーが、クライアント端末へのインストールが必要な業務アプリケーションを利用している企業の場合、VPN利用時に注意が必要になる。業務アプリケーションへ更新プログラムのインストールが必要な場合、IT管理者はクライアント端末1台ごとに更新を適用しなければならないからだ。
Microsoftの「Microsoft Endpoint Manager」などのエンドポイント管理ツールをVPNと併用することは、業務アプリケーション更新負荷の軽減につながる。エンドポイント管理ツールがあれば、IT管理者はインターネット経由で、業務アプリケーションやその更新プログラムを管理対象の全クライアント端末に配信できる。
エンドユーザーのクライアント端末と自社ネットワークの接続に脆弱(ぜいじゃく)なデジタル証明書や古いデジタル証明書を使用する場合、ハッキングの恐れが高まる。データをエンドユーザーのクライアント端末に保持しないようにするには、別の仕組みを追加で採用する必要がある。
一般的なVPNソフトウェアには、オープンソースソフトウェアの「OpenVPN」やF5の「F5 BIG-IP Access Policy Manager」、Cisco Systemsの「Cisco AnyConnect」などがある。
第3回は、DaaSとVPNの主な違いを説明する。
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