2021年に発売した「LTO-9」の製品によってテープ市場は息を吹き返した。「LTO-10」以降でもテープの容量増加は続く見通しだ。今後もテープの需要は高まり続けるのか。
テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)の市場では2021年、新世代「LTO-9」の製品が発売し、市場を盛り上げた。それもあり2021年のテープの出荷容量は前年比約40%増の約148EB(圧縮時)という記録的な結果になった。
LTOの新規格は2、3年の間隔で出ている。LTOを策定する業界団体「LTO Program Technology Provider Companies」(TPCs)はテープ需要を見越し、数世代先までの計画を公表している。問題はテープ市場の“お祭り騒ぎ”が今後も続くのかどうかだ。
TPCsによるLTOのロードマップは、第12世代まで出ている。2024年に登場する第10世代の「LTO-10」は、圧縮時90TB、非圧縮時36TBの容量になる。その後の世代も容量増加は続く見通しだ。
調査会社IDCのリサーチバイスプレジデント、フィル・グッドウィン氏は「保管データ量の増大は企業が直面する大きな課題だ」と指摘する。それを受けて、LTOは新世代になるたびに容量を大幅に増やす必要があるとグッドウィン氏は付け加える。
一方でテープには課題もある。ストレージ管理の自動化が一般化しつつある中、テープは比較的手間がかかる。テープカートリッジの出し入れや保管庫への移動など、人間の手で実施しなければならない作業があるためだ。「テープの運用管理に伴う労力をなくすために、別のストレージへの移行を望む企業もある」とグッドウィン氏は言う。
ランサムウェア(身代金要求型マルウェア)の脅威が広がっていることが、テープの需要を押し上げてきた。テープは企業のネットワークから切り離したデータ保管が可能であるため、ランサムウェアによる侵害を抑止しやすい。調査会社Evaluator Groupはそうしたテープの利点は認めつつも、別の見方もしている。「企業はクラウドサービスなど、管理が簡単で復旧時間が短い代替手段を求めている」と同社はみる。
出荷容量が増えるという動向はあるものの、Evaluator Groupのシニアアナリストであるクリスタ・マコンバー氏は市場におけるテープの位置付けは変わりつつあると指摘する。以前はどのような規模の企業であってもテープを使うことは普通だった。「現在はサービスプロバイダーや大企業など、大規模なシステムを必要とする組織が使用頻度の少ないデータの保管に使うことが一般的になった」とマコンバー氏は話す。
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