大学が「脱テープ」からのクラウド移行を決めた理由とは?テレワークで変わるストレージ運用【前編】

米国の2年制大学MVCCでは、パンデミックを機にテープシステムのある課題が浮き彫りになった。バックアップ用のストレージとしてテープシステムを利用してきた同校は、どう対処したのか。

2022年07月20日 05時00分 公開
[Tim McCarthyTechTarget]

 各地でロックダウン(都市封鎖)を引き起こした新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるパンデミック(世界的大流行)は、組織のITにさまざまな変化をもたらした。米国の2年制大学Moraine Valley Community College(MVCC)にとって、パンデミックはバックアップシステムを見直すきっかけになった。

 MVCCはテープによるバックアップシステムを使用してきた。同校でITインフラの責任者を務めるデニス・セージ氏によれば、IT部門のスタッフはテープシステムの運用管理に毎週30時間もの時間を費やしていた。テープシステムの運用に多大な負担がかかっていたところに、パンデミックが発生した。

MVCCが「脱テープ」を決断した理由 バックアップの代案は?

 パンデミックが継続する中で、MVCCはテレワークとオンライン講義を導入した。そのためIT部門は現場での手作業ができず、テープシステムの運用は維持できなくなった。代替策として検討したのは、手動操作が不要なバックアップシステムだ。これが同校の「クラウドストレージ戦略」につながった。

 「テープドライブは老朽化が進み、講義のデータを登録するのが困難になっていた」と、セージ氏は語る。テープシステムの更改には、1万ドルの費用が必要だった。セージ氏のチームは新しいテープシステムを導入するのではなく、IT部門の予算内に収まり、かつ運用管理の作業時間を短縮できる代案を探した。

 MVCCが最終的に選んだのは、バックアップツールベンダーRubrikと、クラウドストレージベンダーWasabi Technologiesのサービスを組み合わせたシステムだ。クラウドストレージとしてはさまざまな選択肢があるものの、「魅力的なシステムはそれほど多くなかった」とセージ氏は振り返る。

 RubrikとWasabiのサービスを導入したことでテープシステムは不要になったため、MVCCはデータセンターのスペース縮小に成功した。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news202.jpg

KARTEに欲しい機能をAIの支援の下で開発 プレイドが「KARTE Craft」の一般提供を開始
サーバレスでKARTEに欲しい機能を、AIの支援の下で開発できる。

news136.png

ジェンダーレス消費の実態 男性向けメイクアップ需要が伸長
男性の間で美容に関する意識が高まりを見せています。カタリナ マーケティング ジャパン...

news098.jpg

イーロン・マスク氏がユーザーに問いかけた「Vine復活」は良いアイデアか?
イーロン・マスク氏は自身のXアカウントで、ショート動画サービス「Vine」を復活させるべ...