STEM分野の仕事は男性に向いている――。こうした考え方の背景にあるのが「ジェンダーバイアス」の存在だ。教育機関はジェンダーバイアスにどう向き合うべきなのか。
男子学習者はSTEM(科学、技術、工学、数学)分野の学問を望んで履修するが、女子学習者は自ら選ぶことはない――。こうした社会的・文化的な性差に対する偏見「ジェンダーバイアス」が、大学などの高等教育機関に存在するという。
教育関係者やSTEM分野の企業関係者は、ジェンダーバイアスにどのように対処すべきなのか。EdTech(教育とITの融合)ベンダーRMのグローバル事業担当ディレクター、ヘレン・ウォーカー氏の寄稿を掲載する。
「エンジニア」と聞いて、どのような人物像が思い浮かぶだろうか。もし男性の姿を思い浮かべたとしたら、そう考えるのはあなただけではない。残念ながら、保護者や教育機関、教員にも、そうしたジェンダーバイアスが存在する。ジェンダーバイアスを取り除くための変化は、こうした教育の場から起こすべきだという意見がある。
数学者のエイダ・ラブレス、物理学者のマリー・キュリー、数学者のキャサリン・ジョンソンなど、STEM分野で優れた功績を残した女性は、男性が活躍する業界における“例外の存在を証明するアイコン”として利用されることがある。ジェンダーバイアスを取り除く観点で考えたとき、私たちはSTEM分野で日々素晴らしい仕事をする女性、つまり仕事を成し遂げ、革新を起こし、新たな発見をし続けている普通の女性を継続的に評価する必要がある。チームメンバーのダイバーシティー(多様性)は、企業の業績に良い影響をもたらすからだ。
企業は、従来は男性中心だった職種や業種でも女性が活躍できるジェンダーインクルーシブな職場をうまく作り出せるようになりつつある。それでもいまだに「複雑な戦場」をうまく切り抜ける能力のある人材しか昇進できず、ビジネスに価値を付加できていない企業があまりにも多い。今こそSTEM分野において、男女平等に機会を提供すべき時だ。
中編は、STEM分野における女性のキャリア形成を促進するために、教育関係者がジェンダーバイアスにどう対処すべきかを考察する。
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