英国GCE A Level試験では、女子のコンピューティング受験者数は増加傾向にある。ただし女子の間で、コンピューティングなどのSTEM科目を学ぶ動きは十分に広がっていない。その背景には何があるのか。
2021年は、英国の大学入学資格「Advanced Level General Certification of Education」(GCE A Level)の試験科目である「コンピューティング」の受験者数が男女ともに増加した。コンピューティングはプログラミングや情報リテラシーなど、コンピュータの動作原理や活用方法に関する幅広い知識を教える科目だ。一方でコンピューティングを受験した男子と女子の数には、依然として大きな開きがある。
英国コンピュータ協会(BCS:British Computer Society)が2015年から2021年までのGCE A Levelの試験を分析したところ、2021年にコンピューティングを受験した女子の数は、2015年から350%増加したことが分かった。BCSで教育部門のディレクターを務めるジュリア・アダムソン氏は、コンピュータサイエンスの学位を得るために大学に入学する女子学生が「徐々に増えている」と説明。そのことが将来の労働人口に多様性が広がる前兆となるのではないかと期待を寄せる。「コンピューティングを勉強することを選ぶ女子の数が増えるのは喜ばしい。これがIT業界の労働人口の多様化につながることを期待する」とアダムソン氏は語る。
それでも女子の間で、コンピューティングを含むSTEM(科学、技術、工学、数学)科目を学ぶ動きが十分に広がっているわけではない。例えば2021年夏にGCE A Levelのコンピューティングを受験した男子は1万1798人だったのに対して、女子はわずか2031人だった。
女子がSTEM科目を避ける理由は幾つかある。具体的にはSTEMの職務に必要なスキルを取り巻く固定観念、STEM職のロールモデルの欠如などだ。「労働人口のバランスを取ることや多様性を拡大することに誰もが関心を寄せている。教育機関や企業は、女子にSTEM科目に興味を持たせる方法を考えるべきだ」(オケヌワ氏)
「男女間のギャップを解消するまでの道のりはまだ遠い」と、Twilioでデベロッパーエバンジェリストを務めるナサニエル・オケヌワ氏は指摘する。Twilioはコミュニケーション手段をアプリケーションに組み込むためのAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)の開発を手掛ける。より多くの女子にSTEM科目を受験するよう促し、コンピューティングキャリアを検討するよう奨励する“戦い”は続く。
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