大学がストレージをNetAppからPanasasに乗り換えた“コストだけじゃない理由”5年間の戦略的提携を締結

University of Wollongongの研究所Molecular Horizonsが、これまで使ってきたNetApp 製ストレージからPanasas製ストレージへの移行を決断した。その理由とは。

2021年10月28日 05時00分 公開
[Antony AdsheadTechTarget]

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 オーストラリアにあるUniversity of Wollongong(ウーロンゴン大学)の研究所であり、低温電子顕微鏡(Cryo-EM:Cryo-electron microscopy)分野の研究をするMolecular Horizonsは、Panasas製ストレージを導入した。ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の研究を支援するためだ。

NetAppからPanasasに乗り換えた“コスト面の理由”と“それ以外の理由”

 ウーロンゴン大学とPanasasは、5年間の戦略的提携を締結した。この提携により、Molecular Horizonsは耐用年数に達したストレージを順次、現行ストレージからPanasas製ストレージに置き換える。Molecular Horizonsは、低温電子顕微鏡の専門知識を擁し、世界各国の研究パートナーと連携している。こうした連携を可能にしているのが、研究者がウイルスや細胞構造、タンパク質の凍結標本を高解像で捉えた画像を精査できる環境だ。

 これまでMolecular Horizonsは、NetApp製ストレージシステムを利用していた。耐用年数に達するのに伴い、「他のベンダーを探していた」と、同研究所の低温電子顕微鏡担当ディレクター、ジェームズ・バウワー(James Bouwer)氏は語る。

 移行の決断に至った背景について「Panasasには生命科学に関する専門知識があったが、NetAppには十分にはなかった」とバウワー氏は指摘する。同氏によると、両社のストレージは1TB当たりのコストにもかなりの開きがあった。Panasasからは、NetApp製ストレージの100TB分と同等の価格で、1.2PB分を提供するとの提示があったという。

 Molecular HorizonsはNetApp製ストレージの継続も検討したが、これまでと同等のコストで継続する場合、「使える容量は100TBのままだっただろう」とバウワー氏は振り返る。Panasas製ストレージに移行することで、同校は1.2PBのストレージを得た。「どちらが良いかは、はっきりしている」(同氏)

 NetAppからは「あまり多くのサポートを得られる見込みがなかった」とバウワー氏は語る。「『当社はシステムを提供する。提供後はそちらのものになるので、自身で管理をするように』という話だった」(同氏)。Molecular Horizonsは、Panasasとは「生命科学の専門知識に基づき、密接に連携している」(同氏)という。

 ストレージの移行に当たってはPanasasが全ての機器を提供し、相互協力体制で作業を進めた。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大が原因で、Molecular Horizonsがストレージシステムを構築することになった。「Panasasからはリモートでサポートが得られた」とバウワー氏は付け加える。

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