コンピューティングは女子の方が男子よりも得意――。2021年夏の英国GCE A Level試験で、こうした状況が明らかになった。数字上は男女問わず前年から成績が向上したが、この見方には慎重論もある。
英国の大学入学資格「Advanced Level General Certification of Education」(GCE A Level)の試験科目である「コンピューティング」において、女子の成績が男子の成績を上回っている。コンピューティングはプログラミングや情報リテラシーなど、コンピュータの動作原理や活用方法に関する幅広い知識を教える科目だ。
GCE A Level試験の成績を発表しているJoint Council for Qualifications(JCQ)によると、2021年夏の試験ではコンピューティングを受験した女子のうち、最高ランクである「A*」の評価を得たのは25.7%で、前年同期の17.8%から増加した。A*の評価を得た男子の割合は、前年の13.1%からは増加したものの、18.9%にとどまった。
コンピューティングでA*に次ぐ「A」「B」の評価を得た学習者の割合も、女子の方が男子よりも高かった。受験した女子の52.6%がA以上の評価を得たのに対し、男子学生は43.1%と半数に届かなかった。B以上の評価を得た女子が76.1%だったのに対して、男子は67.3%だった。全体的にはコンピューティングを受験した学習者のうち、評価A以上は44.5%、B以上は68.6%であり、いずれも前年よりも高かった。
実際に男女問わずコンピューティングの成績が向上したのかどうかについては議論がある。英国では2019年、2020年の2年連続でGCE A Level試験が中止となり、その間の成績決定には他のさまざまな評価基準を使った。そのため2021年夏試験での成績が高めに偏って出たのではないかという意見が目立つ。JCQも、こうした成績評価の違いを理由に、前年の成績と「単純に比較するのは難しい」と述べる。
2021年のGCE A Levelの成績発表が「少し違った様子に見えたことは間違いない」と、学習管理システム(LMS)ベンダーのSkillsoftで、EMEA(ヨーロッパ、中東、アフリカ)担当エリアバイスプレジデントを務めるアガタ・ノバコフスカ氏は語る。だが「祝ったり同情したりという“いつもの光景”の裏で、学習者は皆『自分は何とか乗り越えたのだ』という同じ気持ちを持っている」とノバコフスカ氏は付け加える。
中編は、GCE A Level試験におけるコンピューティング受験者数の男女差に焦点を当てる。
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