Subwayが“2000店舗”刷新のために用意した「特注ブロードバンド」の中身ファストフードチェーンを変えたネットワーク【前編】

Subwayは英国の店舗にブロードバンドによる新たなネットワークを導入した。「特注仕様」にしたというこのネットワークは、どのような設計なのか。インフラからアプリケーションまでを紹介する。

2022年10月14日 05時00分 公開
[Joe O’HalloranTechTarget]

 ファストフードチェーンを運営するSubwayは、英国の2000店舗以上にブロードバンド(広帯域幅のデータ伝送)のネットワークを導入した。Subwayは、「世界のどの地域でも同じ味とサービス、店舗体験を保証するため、厳格な基準を設けて事業を運営している」と語る。この方針を掲げる同社は、どのようなネットワークを設計したのか。

「特注のブロードバンド」の中身

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 IPC Europe(Independent Purchasing Company Europe)は、欧州地域のSubwayのフランチャイジー(加盟店)によって設立された組織だ。IPC EuropeはSubwayの設ける基準に準拠して、資材の一括購買といったサプライチェーン業務や、コールセンターや店舗機器管理といった、フランチャイジー向けのサービスを提供する。

 Subwayの各店舗において、以下を実現できるインターネットサービスプロバイダー(ISP)をIPC Europeは探した。

  • 店舗におけるサービス品質の強化
  • 耐障害性の向上
  • 将来の事業計画に合わせたサービスの拡張可能性

 「運営コストを低く抑えること」がSubwayのフランチャイジーが掲げる基本原則だ。つまり、適切な顧客サービスを提供しつつコストを抑制できるネットワークサービスを見つけることが重要だった。IPC Europeはこれらの前提条件を踏まえ、ISPのZen Internetに協力を依頼することにした。Zen Internetはコストの要件を満たしつつ、サービス仕様や耐障害性の要件を満たす、オーダーメードのネットワークを設計した。

 Zen Internetは設計においてCisco Systemsのルーターを採用した。このルーターは、以下の方式で設置した光ファイバーに接続する。

  • FTTC(Fiber To The Curb):光ファイバーをユーザーの敷地の手前まで敷設する方式
  • FTTP(Fiber To The Premises):光ファイバーをユーザーの敷地まで直接敷設する方式

 店舗ではIoT(モノのインターネット)機器を含めた端末が無線LAN(Wi-Fi)でルーターに接続し、ブロードバンドの利用が可能となる。

 他にも、Zen Internetの提供するサービスによって、各店舗は以下を利用できる。

  • カード決済
  • デリバリー用のオンライン注文システム
  • セルフオーダー用のタッチパネル式のメニューボード
  • 監視用の「CCTV」(閉回路テレビシステム)
  • 店内のドリンクディスペンサーの容量管理システム

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