「iPhone 14」をインドで製造開始したApple。同社に限らず、IT大手がインドに製造拠点を置く動きが活発化している。この背景には何があるのか。
Appleは委託製造業者Foxconn Technology Group(以下、Foxconn)と提携し、インドでスマートフォン「iPhone 14」を量産する。この動向はインド国内の消費者や、急成長を遂げる同国の製造業に恩恵をもたらす可能性がある、と専門家は期待を寄せる。
業界団体India Electronics and Semiconductor Association(IESA)の会長を務めるラジーブ・カシュ氏によると、こうした動きは、2020年頃からインドへの信頼に「目覚ましい変化」が起きている表れだ。これまでAppleをはじめとする大手IT企業は、インドで古い機種の部品調達をするにとどめ「安全策を取っていた」とカシュ氏は説明。今回の動きは「インドの発展が進み、多くの阻害要因が取り除かれていることを示している」とみる。
FoxconnやWistronなどの委託製造業者が、インドでの製造能力を高めているのはなぜか。その主な理由として、製造連動型のインセンティブスキーム(Production Linked Incentive Scheme:PLIスキーム)をはじめとする政府の経済支援があるとプラキア・シング氏は語る。シング氏は調査会社Counterpoint Technology Market Researchでスマートフォン市場部門のシニアアナリストを務める。「製造能力を高めるほど、インセンティブの目標を達成しやすくなる」(同氏)
インド政府はここ数年、IT産業に対する財政支援を進めている。このことが、安価な労働力や即戦力人材のみならず、成長を続けるその設計能力も活用したいと考える企業を引き付けている。「多くの大手多国籍企業がインドに設計センターを建設するようになった」とカシュ氏は語る。こうした企業の中には、本社以外では最大規模となる開発センターをインドに置くところもあるという。「Appleは今後の新世代機種も、インドで製造することになる可能性がある」と同氏はみる。
iPhone 14がインドで製造されれば、販売後のサービスも向上する可能性があると、インドの大手スマートフォン企業で働くエンジニアのヒマーンシュ・シス氏は指摘する。「カメラモジュールやディスプレイモジュールといった重要部品を国内工場で製造し、そこから調達するようになれば、インドのiPhone 14ユーザーはiPhone修理にかかる時間が短くなる」(同氏)
カシュ氏は、Samsung Electronicsなど他のスマートフォンベンダーもAppleの動きに追随し、各社の最新機種をインドで製造することを期待する。「世界地図の上でインド製造業の発展プロセスは緩やかでゆっくりとしたものだが、正しい道には進んでいる」というのが同氏の考えだ。
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