不正なクリプトマイニング(暗号資産発掘)の攻撃キャンペーン「PurpleUrchin」。これを可能にしたのは、クラウドサービスの普及だと専門家は指摘する。どういうことなのか。
サイバー攻撃集団Automated Libraは、不正なクリプトマイニング(暗号資産採掘)の攻撃キャンペーン(一連の攻撃)「PurpleUrchin」を仕掛けた。「クラウドサービスが普及した結果、PurpleUrchinの実行は容易になった」。セキュリティベンダーPalo Alto Networksの調査チームUnit 42の研究者、ウィリアム・ガマンゾ氏とナサニエル・クイスト氏はこうみる。それはどういうことなのか。
攻撃者はクラウドサービスを使えば、アプリケーションを稼働させるためのインフラを自ら用意、運用する必要がない。クラウドサービスに必要なシステムを展開するだけで、攻撃を仕掛けることが可能になったのだ。
Automated LibraはPurpleUrchinにおいて、クラウドサービスでの無料または期間限定の試用アカウントを悪用していた。PurpleUrchinを発見したセキュリティベンダーSysdigの調査によると、Automated Libraは正規のエンドユーザーに影響を与えたり、正規のアカウントを侵害したりはしなかった。そのためしばらくの間、クラウドベンダーやセキュリティベンダーが発見できなかったと推察する。
クラウドベンダーが攻撃を防ぐために、無料アカウントや試用アカウントの規定を厳しくしたり、利用料金を引き上げたりすれば、攻撃者の行動は現状のユーザーに悪影響を及ぼす。例えばGitHubは、同名ソースコード共有サービスの無料アカウントを維持するために、毎月15ドルのコストを掛けているとSysdigは見積もる。Automated Libraの活動状況から「クラウドベンダーが負った被害は相当な規模になる」とみる。
後編は、Automated LibraがPurpleUrchin実現のために悪用した、クラウドサービス以外のITツールを解説する。
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