ジェネレーティブAI市場を席巻するOpenAI「ChatGPT」の対抗策として、Googleが生み出したのが「Bard」だ。鳴り物入りで登場したBardの“今”の実力は、結局のところどうなのか。
Googleは2023年3月21日(米国時間、以下同じ)、AI(人工知能)チャットbot「Bard」を一般公開した。これによりジェネレーティブAI(生成AI:テキストや画像などを自動生成するAI技術)の競争は、かつてないほど激しくなった。
Bardの一般公開は、AIベンダーOpenAIが2023年3月14日に、大規模言語モデルの最新版「GPT-4」の提供を始めた1週間後のことだ。原稿執筆時点で、同社はAIチャットbot「ChatGPT」の有償プラン「ChatGPT Plus」およびAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)を通じて、GPT-4を提供している。
AIチャットbotの利用を検討するエンドユーザーは、BardとChatGPTの双方を比較することになる。ただしBardはまだ初期段階にあり、少なくとも原稿執筆時点では、ChatGPTの足元にも及ばないというのが専門家の見方だ。
「Bardがまだ開発途上の製品であることは間違いない」と、調査会社Forrester Researchのアナリスト、ローワン・カラン氏は語る。カラン氏によると、ChatGPTの機能を基にしたMicrosoftの検索エンジン「Bing」と同様、Bardはエンドユーザーからの質問(プロンプト)に対して、さまざまな形での応答を試みる。
BingのAIチャットbot機能と比べると、原稿執筆時点でのBardは、応答の正確性や網羅性に難があるとカラン氏は説明する。例えばBardは、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の特定のアカウントについて、アカウント名を答えることはできても、そのアカウントにひも付く人物の情報を適切に答えられない可能性があるという。「Bardはまるで、BingのAIチャット機能がまだ社内β版だったときの状態のようだ」と同氏は語る。
次回は、BardがジェネレーティブAI市場で“逆転勝利”を収める可能性を考察する。
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