生成AIの進化が実現し得る「コグニティブオートメーション」。頭脳労働者の仕事を奪う可能性があるという、コグニティブオートメーションとは何なのか。その影響とは。
AI(人工知能)ベンダーOpenAIのAIチャットbot「ChatGPT」をはじめとする「ジェネレーティブAI」(生成AI:テキストや画像などを自動生成するAI技術)によって、頭脳労働者の価値が揺らぐ可能性がある。生成AIの進化によって「コグニティブオートメーション」が実現し、さまざまな業務の自動化が実現する可能性があるからだ。
コグニティブオートメーションとは何なのか。一言で説明すると、
を指す。コグニティブオートメーションは、ソースコードの記述や報告書の作成といった、これまで人が担ってきた知的作業を自動化する。
知的作業を担う頭脳労働者には、批判的思考と問題解決のスキルが求められる。こうした頭脳労働者がこれまで担ってきた役割を、コグニティブオートメーションツールが担えるようになる。
米国University of Virginia(バージニア大学)の経済学部と、同校の経営大学院Darden School of Businessの教授であるアントン・コリネック氏は、2030年前後までには、知的作業において人が果たす役割は減ると予測する。「私たちは“人の皮をかぶったゴム印”のような存在になる可能性がある」とコリネック氏は語る。人は、実際に仕事をするのではなく、コグニティブオートメーションツールがこなした作業を承認するだけの存在になりかねないということだ。
2023年3月、シンクタンクのBrookings Institution(ブルッキングス研究所)とGeorgetown University(ジョージタウン大学)が共同開催したオンラインイベント「ChatGPT and the future of work」では、参加者はChatGPTなどの生成AIツールがもたらす影響を議論した。イベントの講演でコネリック氏は「産業革命以来、さまざまな仕事や作業が自動化されてきた」と説明。その上で、これまでの自動化は「機械や肉体労働に関係するものが大半を占め、知的作業に関係するものではなかった」と指摘した。
ブルッキングス研究所の経済研究組織Center on Regulations and Marketsでディレクターを務めるサンジェイ・パトナーヤク氏は同イベントで、生成AIが労働市場と将来の仕事にもたらす影響について「経済学者や一般市民の間に大きな不安が広がっている」と述べた。自動運転といった肉体労働の自動化に関する技術進化が急速に進んだのは「それほど昔の話ではない」とパトナーヤク氏は指摘。生成AIの進化は「さらに速く進むと考えられる」とみる。
次回は生成AIの可能性と限界に関する、専門家の議論を紹介する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ハロウィーンの口コミ数はエイプリルフールやバレンタインを超える マーケ視点で押さえておくべきことは?
ホットリンクは、SNSの投稿データから、ハロウィーンに関する口コミを調査した。
なぜ料理の失敗写真がパッケージに? クノールが展開する「ジレニアル世代」向けキャンペーンの真意
調味料ブランドのKnorr(クノール)は季節限定のホリデーマーケティングキャンペーン「#E...
業界トップランナーが語る「イベントDX」 リアルもオンラインも、もっと変われる
コロナ禍を経て、イベントの在り方は大きく変わった。データを駆使してイベントの体験価...