LenovoとIntel、英大学が「HPC」(高性能計算)でタッグ結成 その狙いは?HPCで充実する高等教育機関【前編】

英国のインペリアルカレッジロンドンがHPC分野でLenovoとIntelと共同研究を開始した。3者が組んだ狙いと、共同研究がもたらす効果とは。

2023年07月07日 07時15分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

 英国のインペリアルカレッジロンドン(Imperial College London)は、LenovoとIntelとの共同研究に乗り出した。これによって同校は、英国内において比較的規模の大きい、「Tier 3」(注1)のハイパフォーマンスコンピューティング(HPC:高性能計算)施設の一つになる。

※注1:英国におけるTier3 HPC施設は、高等教育機関の研究チームが自由に使用できるスーパーコンピュータを保有する施設。

3者コラボ“2つの狙い”とは

 このプロジェクトの目的は次の通りだ。

  • 持続可能なHPCリソースをインペリアルカレッジロンドンに提供すること
  • HPCや人工知能(AI)技術の活用スキルを持つ次世代の人材を、男女バランス良く育成する取り組みを中長期的に支援すること

 IntelのEMEA(欧州、中東、アフリカ)担当HPCテクニカルディレクターであるアダム・ロー氏は、次世代のHPCおよびAI技術者の育成は、教育機関だけではなく、IT業界の責任でもあると考える。

 今回のプロジェクトの一貫としてIntelは、英国の研究推進機関UK Research and Innovation(UKRI)が提供するプログラム「Industrial Cooperative Awards in Science & Technology」(ICASE)(注2)を通じて、博士課程の学生を援助する。具体的には、同社の開発者向けクラウドサービス「Intel Developer Cloud」「Intel Software Development Platform」へのリモートアクセス機能を提供することで、インペリアルカレッジロンドンのHPCシステムの開発を支援するという。

※注2:企業や関連組織が、博士課程の学生に資金を提供するプログラム。

 インペリアルカレッジロンドンとLenovo、Intelがコラボレーションすることで、同校の「Research Computing Service」(RCS)は、工学や自然科学、医学、ビジネスといった全学部向けの並列計算能力を確保した。RCSは、同校の研究者によるHPCリソースの利用を支援する組織だ。これにより同校の研究者は、自身の研究を加速させることが可能になる。具体的には以下を提供する計画だ。

  • 各学部の要望を取り入れたHPCシステム
  • 大規模データストレージ
  • 大容量のデータ転送機能
  • 研究ソフトウェアエンジニアリングのコンサルティング

 次回は、インペリアルカレッジロンドンがLenovoの液体冷却技術「Lenovo Neptune」を採用した理由を紹介する。

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