Rancher、OpenShift、Tanzuを比較【第3回】
「Rancher」「OpenShift」「Tanzu」をデプロイ機能で比較 何が違う?
Kubernetesクラスタの運用管理ツールは、操作の自動化や一元管理などによる省力化が可能だ。アプリケーションのデプロイや管理において「Rancher」「Red Hat OpenShift」「VMware Tanzu」はどう違うのか。
コンテナを扱う上で欠かせないツールが、コンテナオーケストレーションツール「Kubernetes」だ。Kubernetesでコンテナクラスタ(Kubernetesクラスタ)を扱う際には、運用管理の自動化や簡略化に役立つツールを活用できる。具体的にはSUSEの「Rancher」、Red Hatの「Red Hat OpenShift」(以下OpenShift)、VMwareの「VMware Tanzu」(以下Tanzu)などが候補に挙がる。これらのツールの違いを解説する本連載のうち第3回は、Kubernetesクラスタ内でのアプリケーションのデプロイ(実行環境に配置)と管理に関する機能の違いを取り上げる。
違い2.デプロイとアプリケーション管理
Rancher
併せて読みたいお薦め記事
連載:Rancher、OpenShift、Tanzuを比較
Kubernetesクラスタの扱い方
Rancherは、Kubernetesクラスタを管理し、アプリケーションを簡単にデプロイできるインタフェースを持つ。IT管理者はRancherを使うことで、アプリケーションのデプロイの自動化と効率的な管理により、スムーズにアプリケーションをアップデート可能だ。
パッケージ(拡張機能群)管理ツール「Helm」とシームレスに連携できる点もRancherの特徴だ。Helmの「チャート」とは、Kubernetesクラスタでアプリケーションをパッケージ化し、デプロイするためのテンプレートを指す。エンドユーザーはHelmのチャートを使って、アプリケーションを手早くデプロイできる。
OpenShift
OpenShiftには、コンテナ化されたアプリケーションをビルド(実行可能ファイル生成)する「Source-to-Image」(S2I)機能がある。S2I機能は、開発ワークフローを簡素化するのに役立つ。「Jenkins」「GitOps」といったCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)ツールとOpenShiftを連携させることで、アプリケーション開発における一連のプロセスを自動化できるようになる。
CI/CDパイプラインを用いてワークフローを管理、自動化するOpenShiftは、エンドユーザーによるデプロイの効率化にも有効だ。アプリケーションのデプロイに必要な設定を記録したテンプレートも、開発プロセスの高速化を後押しする。テンプレートを使ってデプロイしたアプリケーションに、個別の状態や依存関係(他のアプリケーションを必要とする関係)を与えることで、一貫したデプロイが可能になる。
Tanzu
「VMware Application Catalog」は、仮想マシンやコンテナなどで稼働するアプリケーションを一元管理できるサービスだ。VMware Application CatalogとTanzuを組み合わせることで、特定の構成のアプリケーションやデータベースを迅速にデプロイできるようになる。Kubernetesクラスタにおけるトラフィック、可観測性、セキュリティを効率的に管理できる「VMware Tanzu Service Mesh」も利用可能だ。
クラウドネイティブアプリケーション(クラウドサービスでの運用を前提にしたアプリケーション)のデプロイツール「VMware Tanzu Buildpacks」は、現代のアプリケーション管理によくある複雑さの軽減に役立つ。他にも、アプリケーションがデータベースなどの外部サービスに接続できるようにするサービスブローカー、アプリケーションの負荷に応じてメモリなどのリソースを自動で増減させるスケーリング機能といった機能も活用できる。コンテナイメージの作成にVMware Tanzu Buildpacksを使用することで、アプリケーションに使用したプログラミング言語やフレームワーク(特定の機能を持つプログラムの開発を支援するプログラム部品やドキュメントの集合体)、依存関係を自動的に検出でき、効率的な開発が可能となる。
次回は、監視とロギング(ログの記録と分析)機能に関する違いを紹介する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
2
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
3
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
4
サーバ約70台をAWSへ ヤナセが移行前にやった「通信要件の可視化」
-
5
AIインフラの理想形? 「5層のケーキ」を垂直統合するための近道とは
-
6
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
7
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
-
8
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
9
多品種小ロットの「手書き・配合ミス」を克服 キャニオンスパイスの食品工場DX
-
10
「AI活用」を掲げた年金刷新が炎上 英政府が大手ITアウトソースを切り捨て「内製回帰」した理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
3
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
4
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
5
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
6
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
7
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
8
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
-
9
国税庁の次世代基幹システム「KSK2」稼働開始に向けて、対応すべき変更点とは?
-
10
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー