適切なベンダーを見つけて必要なソフトウェアを調達するために、購買部門は提案依頼書(RFP)の回答を「客観的かつ一貫性のある方法」で評価しなければならない。そのために従うべき12個の鉄則とは。
製品選定前に提案依頼書(RFP)の回答を評価するプロセスは、ソフトウェアの購買部門にとって重要なステップだ。その目的は、回答内容から候補ベンダーの数を絞り込み、次の段階に進める最良の候補を選び出すことにある。RFPの評価で高得点を得たベンダーのみにデモをしてもらうことが理想的だ。
再現性と拡張性のあるプロセスを作ることは、ソフトウェアのRFPを含め、業務のあらゆる分野において重要だと言える。ソフトウェアの購買部門がRFPの回答を、客観的かつ一貫性のある方法で評価するための12個のステップを紹介する。
評価プロセスの一環として、社内の各部門のステークホルダーを巻き込み、異なる視点を評価に取り入れる必要がある。部門ごとにさまざまなニーズを持っており、この段階では多様な視点が重要になる可能性があるからだ。
評価プロセスに参加する評価者には、一定のルールに従ってもらわなければならない。最初に明確なガイドラインを定めておけば、評価者がプロセスを台無しにするミスを犯す可能性は低くなる。評価プロセスを標準化するためには、以下の行為を禁止する旨をガイドラインに定めておくとよい。
評価プロセスに参加しているチームの中で代表を決め、その人1人で全ての営業担当者と話をすることが望ましい。この担当者は必要に応じて質問をしたり、ベンダーにデータを提供したりする役割を担う。担当者が1人だけになることで、質問が集約され、繰り返し同じ質問をする可能性が低くなる。その担当者がベンダーとの窓口となるため、ベンダーがチームに対しするバイアス(偏見)を持つことを回避可能だ。
購買部門からベンダーに、回答のテンプレートを提供することで、評価プロセスを簡素化できる。企業の要件は多岐にわたるため、ベンダーが回答を提出する際の書式を標準化すると、ベンダー間の比較が簡単になる。
購買部門とベンダーは、RFPに記載した提出プロセスに従わなければならない。従うべき項目の一例は、重要な日付、ベンダーの選定手順といった重要なアクションだ。提出プロセスの変更が必要な場合、購買部門はベンダーの回答者に通知する必要がある。RFPは、企業が自社のニーズに基づいてRFPを変更する権利を持つ旨を含んでいることが珍しくない。ベンダーは回答書の作成に多くの時間を費やす可能性があるため、RFPに重大な変更があったら購買部門はすぐにベンダーに情報共有をすべきだ。
評価のテンプレートがあれば、評価者は期待値を理解しやすくなることに加え、全ての評価を組み合わせて比較するプロセスを簡略化できる。評価者がばらばらの書式で回答を記述した場合、評価の比較に時間が掛かり、デモの段階に進むべきベンダーの選定作業に支障を来しかねない。
RFPでは審査の対象となる書類や資料が膨大な量になる可能性がある。各評価者は、提出された資料を全て精読し、徹底的かつ公平な評価をしなければならない。
ベンダーを適切に評価する鍵は、そのベンダーによるRFPの回答が企業のニーズにどの程度合致しているのかを理解することだ。満たされている要件と満たされていない要件が明確になった結果、ベンダーの評価が大きく変わることがある。
購買部門は、ベンダーがサードパーティーと提携しているかどうかも検討する必要がある。そのため、各ベンダーの回答を確認し、サードパーティーとの提携について公正に判断するために十分な情報が提供されていることを確認すべきだ。
導入検討中の製品に詳しい外部のコンサルタントに依頼することで、回答が不完全な部分や追加の質問が必要な部分を特定できる可能性がある。最初のRFP作成に関わらなかったコンサルタントが、ベンダーに尋ねるべき追加の質問を提案してくれることもある。
RFPの回答に、料金、支払いスケジュール、変更要求の管理に関する明確な記載があるかどうかを確認するとよい。ベンダーのプロジェクトに対する請求額や、追加要求の価格が不明確だと、プロジェクトのコストは非常に膨れ上がりやすいからだ。
順守できる本稼働日を含む、製品導入プロジェクトのスケジュール案を確認する。ただしベンダーが「強気なスケジュール」を提案している場合は注意する。入札を勝つための戦略である可能性があるからだ。
大規模なプロジェクトでは、ベンダーと強固なパートナーシップを築く必要がある。ベンダーの事業内容、特に創業年数、従業員や顧客の数、同様のプロジェクトを成功させた回数などを注意深く確認する。RFPの評価プロセスにおいて重要なのは、ベンダーに関するこれらの詳細を知ることだ。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
営業秘密が不正に持ち出されたり開示されたりしたら、深刻な被害を及ぼす可能性がある。本資料では、営業秘密の漏えいに関する現状から、発生した際の対処方法まで詳しく解説する。
コンサルティングとITソリューションを組み合わせ、企業の経営改革や事業改革を支援する野村総合研究所では、自社の改革にも取り組んでいる。本資料では、「調達業務改革」を推進している同社の取り組みを紹介する。
研究機関のデジタル化は、業務効率向上だけでなく、研究の加速にも直結する。沖縄科学技術大学院大学では、統合プラットフォームを活用し、IT管理や学生情報管理を最適化することで、業務改革を実現した。
多くの企業が複数のクラウドサービスを利用しているが、そのメリットを最大限享受するには、IT戦略を構築した上で、マルチクラウドを推進していく必要がある。その理由と、戦略の実践による効果について、本資料で解説している。
自治体は今、スマート化への変革が急務となっている。変革の鍵はクラウドの活用だが、現在多くの自治体が導入している「三層分離(αモデル)」は、クラウド導入の障壁となっている。自治体がクラウド導入を進めるための方法を探る。
2025年の「IT導入補助金」で中堅・中小が導入すべき2つのツール (2025/3/31)
申請業務のシステム化が難しい理由とその解決策とは (2024/9/27)
運用・管理はお任せ 生成AIを安全に活用できるRPAプラットフォーム (2024/5/16)
オンライン研修で情報処理安全確保支援士の取得と維持を支援 (2024/2/1)
セキュリティ対策にDX 情シスが「やりたくてもできない」状況から脱するには? (2024/1/29)
お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。