生成AIの中でも、テキストを生成するAIからより良い答えを引き出すための技法を「プロンプトエンジニアリング」と呼ぶ。そのために活用できる3つのツールとは。
テキストや画像などを自動生成するAI(人工知能)技術「生成AI」(ジェネレーティブAI)を業務に活用する動きが広がり始めている。テキストを出力する生成AIは、大規模言語モデル(LLM)を基に稼働している。LLMから望ましい回答を得るには、適切なプロンプト(情報生成のための質問や指示)を作成することが重要だ。そうしたプロンプトを作成する設計プロセスである「プロンプトエンジニアリング」を支援するツール7つのうち、本稿は5~7つ目を紹介する。
「Prompter」はOpenAIのLLM「GPT-3.5」「GPT-4」用のデバッグツールで、プロンプトの問題の特定、対処に利用できる。LLM用のプロンプトをテストし、繰り返し結果を確認するための環境も提供する。
エンドユーザーはPrompterを使って、過去のプロンプトを保存して再利用したり、パラメータを調整してLLMの応答を調整したりできる。複数の異なるプロンプトを一度にテストしたり、APIにプロンプトを送信して結果を表示したりすることも可能だ。
現在のところ、PrompterはGPT-3.5とGPT-4としか連携していない。将来的には、Anthropicの「Claude」をはじめとする他のモデルでも利用可能にする計画があるという。「Google Chrome」「Mozilla Firefox」「Safari」「Microsoft Edge」といったWebブラウザで利用できる。
Prompterは無償で利用できるが、APIキーに基づく使用制限がある。
「PROMPTMETHEUS」は、複雑なLLM用プロンプト作成に特化したツールだ。リモートサーバでプロンプトを実行する「AIプログラミングインタフェース」(AIPI)を提供する。プロンプトをデータやテキストごとのブロックに分解して、エンドユーザーは自由にそれらのブロックを並べ替えたり、組み合わせたり、テストしたりできる。プロンプトの作成履歴の保存や、クラウドサービスとして提供されるLLMでプロンプトを実行する際のコストの見積もりも可能だ。
対象のLLMはAnthropicの「Claude 2」、Meta Platformsの「Llama 2」、Aleph Alphaの「Luminous」などで、将来的にはxAIの「Grok 1」などのモデルでも利用可能になるという。
プロンプト作成、やデータのエクスポートおよびインポート機能を備えた無償の試用プラン「Playground」は、原稿執筆時点ではOpenAIのモデルでしか動作しない。その他の有償プランには、月額29ドルの「Standard」、月額79ドルの「Pro」、月額490ドルの企業向けプラン「Team」がある。
「FusionAI」はプロンプトの改善や拡張を支援するプロンプトエンジニアリングツールだ。クリエイティブなライティング、アイデア出し、ブレーンストーミングに活用できる。
エンドユーザーが作成したいプロンプトの内容を記述すると、FusionAIはその指示を基により適切なプロンプトを生成する。エンドユーザーは生成されたプロンプトを編集したり、再生成したりすることも可能だ。プロンプトのクリップボードへのコピーや、生成されたプロンプトの一部をFusionAIに書き直させることもできる。FusionAIはプロンプト生成に特化したツールで、API連携機能はなく、GPT以外のモデルでは利用できない。
FusionAIは無償で利用できる。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、開発のノウハウや技術知識など、ITエンジニアの問題解決に役立つ情報を厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ビジネスに生成AIを利用するのが当たり前になりつつある中、ローコード開発への活用を模索している組織も少なくない。開発者不足の解消や開発コストの削減など、さまざまな問題を解消するために、生成AIをどう活用すればよいのか。
急速に変化する顧客ニーズに応えるような適切な製品を継続的に提供するためには、より多くのアプリを生み出す必要があるが、そのための開発者が不足している。そこで注目されているのが、生成AIやローコード開発プラットフォームだ。
あらゆる組織は、従業員と消費者の双方に良質なエクスペリエンスを提供する義務を負っている。アプリ開発と高度な自動化は、この目的を達成するための有効策の1つだが、それぞれを適切に実装できなければ、むしろリスク要因ともなり得る。
DXが進み、レガシーシステムからの脱却が喫緊の課題となっている今。「ERP×ノーコードツール」のアプローチで基幹システムの刷新に取り組む企業が増えている。そのアプローチを推進するに当たってのポイントを解説する。
DXの本質は、デジタル技術を駆使して変化に適応する能力を身につけることにある。その手段の1つとして注目を集めているのが、ローコード/ノーコード開発ツールだ。京王グループなどの事例とともに、その特徴やメリットを紹介する。
なぜ、「kintone」が大企業の「Fit to Standard」に効果的なのか (2025/3/7)
ノーコードは、負の遺産であるアナログ業務をなくせるのか (2024/11/12)
手間もコストもかかるGUIのテストはどうすれば自動化できるのか (2024/6/4)
「システム内製化」が失敗しがちなのはなぜ? “従来のやり方”では駄目な理由 (2024/5/15)
金融機関のモダナイゼーション 最適解に導くには (2024/3/29)
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。