いまさら聞けない、物理PCではなく「仮想デスクトップ」を使う理由と方法仮想デスクトップの6つの利点【前編】

業務用のデスクトップ(コンピュータの操作画面)を提供する方法は幾つかある。そのうちの一つが、仮想デスクトップだ。ノートPCではなく仮想デスクトップを使用する利点とは。

2024年05月23日 07時30分 公開
[John PowersTechTarget]

 「仮想デスクトップ」を利用すると、物理PCに搭載されたOSを利用するのとは異なる利点が得られる。IT管理者は従業員に物理PCを利用してもらう方が導入や管理が簡単だと考えがちだが、選択肢からすぐに仮想デスクトップを排除しない方がよい。

 従業員に仮想デスクトップを提供するための幾つかの方法と合わせて、仮想デスクトップで得られる利点を紹介する。

仮想デスクトップを利用するための3つの方法

 IT部門は仮想デスクトップの利用を開始するために、以下の幾つかの方法を選択できる。

  • 仮想デスクトップインフラ(VDI)
    • 社内のインフラで仮想デスクトップを運用する。自社でサーバを構築する必要がある。
  • DaaS(Desktop as a Service)
    • クラウドベンダーが管理する仮想デスクトップを、クラウドサービスとして利用する。VDIと比較して機能が限定される場合がある。
  • ハイブリッド型デスクトップ仮想化
    • VDIとDaaSを組み合わせる手法だ。特定のアプリケーションのみをVDIで実行し、他のアプリケーションはDaaSを利用する。

仮想デスクトップの利点とは

 企業が仮想デスクトップを活用する主な利点は次の通り。

1.一元管理

 デスクトップを一元管理できることは、デスクトップ仮想化の利点の一つだ。ローカルデスクトップの場合、更新プログラムを適用したり、新しいアプリケーションをダウンロードしたり、設定を変更したりするために、PCを1台ずつ再起動する必要がある。デスクトップ仮想化を使えば、このようなダウンタイム(システムが利用できなくなる時間)を少なくできる。IT部門はOSの更新やアプリケーションの設定変更の反映を、夜間や週末などの時間帯に自動で実行できる。

 例えばある企業が新しい動画編集アプリケーションを仮想デスクトップに導入したい場合、IT部門が導入作業を担当する。そのアプリケーションを必要とする従業員が仮想デスクトップを利用していないタイミングで、IT部門はその従業員を含むユーザーグループの仮想デスクトップイメージを変更し、新しい仮想アプリケーションをインストールできる。アプリケーションを事前に仮想デスクトップで立ち上げて、実導入前にテストすることも可能だ。

2.拡張や新規ユーザーへの配備が容易

 新しいノートPCやデスクトップPCを導入することは、以前ほど難しくはない。MDM(モバイルデバイス管理)ツールといった管理ツールを利用して、ゼロタッチ(従業員のデバイス導入時に必要なアプリケーションや設定をクラウド経由で自動配布する手法)でデバイスを支給する方法は、既に普及している。さらにさまざまなベンダーが、企業利用に適した設定済みのモバイルデバイスを提供している。しかし企業によっては仮想デスクトップを立ち上げて従業員に割り当てる方が、依然として容易だ。

 ノートPCやデスクトップPCは、IT担当者またはエンドユーザーの従業員自身がデバイスへのOSのインストールや業務用アカウントへのログインを実施しなければならない。その後必要なアプリケーションが全てそろっていることや、所属企業の管理ツールと連携していることを確認する必要がある。仮想デスクトップの場合は、クライアントデバイスを準備するときに、エンドユーザーの認証資格情報でホストサーバと接続できるかどうかを確認するだけでよい。

 仮想デスクトップを利用すれば、適切なバージョンのライセンスのOSを搭載した新しいPCを入手するために、PCの調達に時間をかける必要はない。DaaSを利用している場合は使用者の増減に合わせてIT部門がクラウドベンダーに連絡を取り、サブスクリプションプランを変更したり、ライセンス数を調整したりする必要がある。自社が所有するサーバとVDIで仮想デスクトップを実行している場合、IT部門は必要なサーバやストレージの容量を確保する必要がある。


 後編は別の視点から、物理PCではなく仮想デスクトップを使う利点を紹介する。

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