さまざまな責任を持つLinuxの管理者は、ストレスをため込みがちだ。いらいらを募らせないために、日常の作業を楽しくしてくれるコマンドの使い方を知っておこう。
OS「Linux」には、日常的な操作を楽ませてくれるコマンドの使い方がある。中でも筆者が気に入っているのが、Linuxのシステム管理者には欠かせないコマンド「sudo」の使い方だ。
これにちょっとしたユーモアを取り入れれば、毎日の作業をより楽しめるようになる。例えばパスワードを間違えた場合だ。パスワードを間違える行為はストレスや疲労の原因になる。それを楽しめるようにするために、sudoを使った次の方法を試してみよう。
スーパーユーザーの権限で実行することを意味する「superuser do」の略であるsudoは、管理者アカウント「root」の権限を一時的に付与するコマンドだ。権限昇格をする必要がある際は、コマンドの前にsudoを付ける。
これによって、sudoの設定ファイルである「/etc/sudoers」をOSが参照し、コマンドを実行するユーザーにタスクを実行する権限が与えられているかどうかを確認できるようになる。/etc/sudoersは、「誰が」「どのコマンドを」管理者権限で実行できるのかを定義するファイルだ。
ターミナルでsudoを実行すると、sudo使用時の責任に関する警告メッセージが表示され、管理者権限の重大性と責任をユーザーに通知する。次にsudoは、ユーザーを確認するためにパスワードの入力を求める。ユーザーが正しいパスワードを入力した場合、sudoは/etc/sudoersを参照する。/etc/sudoersで、そのユーザーに管理者権限が設定されていれば、OSはタスクを実行する。
このとき、ユーザーがパスワードを間違うとどうなるのか。通常、sudoは「パスワードが間違っている」旨のメッセージを表示する(画面1)。例えばLinuxディストリビューション「Ubuntu Core」のバージョン22では、間違ったパスワードに対するデフォルトメッセージは「Sorry, try again」だ。使用しているディストリビューションによって文言は多少異なるものの、大体は同様のシンプルなメッセージだ。
メッセージをより面白いものに変更するオプションがinsultsだ。sudoのinsultsを有効にするには、sudoの設定ファイルである「/etc/sudoers」に設定を1行追加する必要がある。このとき、テキストエディタではなく「visudo」コマンドを使用して編集する方が望ましい。visudoはファイルを変更する前に設定の構文をチェックし、問題がなければ変更を適用する。この仕組みによって、システムにログインできなくなる変更ミスを防ぐ。
以下の手法では、sudoに関連する設定を変更する。変更内容が不適切な場合、Linuxの機能に支障を来す可能性がある。変更内容に絶対に間違いがないと確信している場合以外は実行してはならない。
以下のコマンドを使うと、visudoを使って/etc/sudoersを開くことができる。visudoはOSのデフォルトとして設定されているテキストエディタを立ち上げる。
sudo visudo
ファイルを開くことができたら、設定内に「Defaults」という項目があるセクションが見つかるはずだ。Defaultsは、sudoの動作設定を記述するための項目だ。例えば、sudoによる環境変数(OS内でデータを共有するための変数)の扱い方を制御する「env_reset」、パスワードの入力を間違えた場合の動作を制御する「mail_badpass」などがある。insultsに関する設定をするには、「Defaults insults」という行を追加する。
記入し終えたら、/etc/sudoersを保存して閉じる。操作方法はテキストエディタによって異なり、例えば「Vim」では「:wq」コマンドを入力し、「Nano」では「Ctrl」キーと「X」キーを同時に押してから「Y」キーを押す。
設定に問題がないかを確認するために、sudoを必要とするコマンドを使い、わざと間違ったパスワードを入力してみよう(画面2)。
少しからかいたいだけで侮辱的なメッセージは出したくない場合や、使用しているLinuxディストリビューションがinsultsを無効にしている場合がある。その場合は、デフォルトメッセージである「Sorry, try again」の変更を検討してほしい。この作業を実施するには、/etc/sudoersに「badpass_message」に関する設定を追加する。以下は「Nope!」というメッセージを表示するための例だ。
Defaults badpass_message="Nope!"
この設定を反映すると、エラーメッセージは画面3のように出力される。
ここで設定したカスタムメッセージを表示するには、insultsがデフォルトで表示するメッセージを上書きする必要がある。そのためには、/etc/sudoersの「Defaults insults」行をコメントアウトするとよい。
次回は、本稿で紹介した方法をより楽しめるようにする方法を紹介する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、開発のノウハウや技術知識など、ITエンジニアの問題解決に役立つ情報を厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
デジタルファーストの世界が到来し、技術的なニーズが高まる一方、ITサービスとIT運用がサイロ化し、イノベーションの妨げになっているケースは少なくない。この問題を解消するための「3つのアプローチ」とは?
世界的な混乱によりビジネス環境が厳しさを増す中、企業が生き残るにはレジリエンスと事前対応力が重要になる。ITサービスと運用においても見直しが求められ、生成AIや自動化による組織運営の効率化が必要とされている。
近年、SaaS利用が加速する中、「誰がどのサービスを使っているのか不明」「退職者のアカウントが残っている」といった管理上の問題が顕在化している。そこで本資料では、SaaSのアカウント管理を効率的に行う方法を紹介する。
今日、企業は俊敏かつ継続的なサービスを求められており、顧客離れやブランド価値の毀損につながるシステム停止は絶対に避けるべき要件となっている。そこで重要となるのが、データ保護とBCDR(事業継続性とディザスタリカバリー)である。
組織経営の存続を左右する「システム障害」だが、これまではその対策を単なるコスト要因と見なす風潮が強かった。しかし新世代のビジネスリーダーたちは重大な経営課題としてシステム障害に向き合い、さまざまな対策を実践しているという。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。