Googleはアプリケーション仮想化ベンダーのCameyoを買収した。この買収には「ChromeOS」をはじめとした法人向けIT市場に対する、Googleの“ある狙い”がある。その狙いとは。
Googleは2024年6月に、アプリケーション仮想化ベンダーのCameyoを買収した。CameyoはGoogleのクライアントOS「ChromeOS」でMicrosoftのクライアントOS「Windows」用のアプリケーションを実行可能にするための方法を提供している。Cameyoの買収によってGoogleは何を実現しようとしているのか。
Googleはここ数年でCameyoとの関係を深めていた。2023年8月には、Cameyoのアプリケーション仮想化ソフトウェア「Virtual App Delivery」をChromeOSに組み込んだ。Googleがこの変更を実施した理由として、次の点が考えられる。
Cameyoがデスクトップ仮想化やアプリケーション仮想化の他ベンダーと異なる点は、ChromeOSで自社のソフトウェアを利用するときに、可能な限りのシンプル化を目指したことだ。Cameyoのソフトウェアは、Googleとの連携を念頭に置いて開発された。
例えばCameyoはデスクトップ仮想化ではなく、アプリケーション仮想化機能だけを提供する。仮想アプリケーションはWebブラウザのタブか、スタンドアロンのアプリケーションのように見えるPWA(プログレッシブWebアプリケーション)を介して操作できる。デスクトップを丸ごと仮想化して提供するVDI(仮想デスクトップインフラ)に対し、Cameyoは個別のアプリケーションに任意のデバイスやOSからアクセスできるようにすることをVAD(仮想アプリケーションデリバリー)と呼ぶ。
Cameyoがアプリケーション仮想化に照準を絞ったことや、ローカルファイルシステムやクリップボード機能を仮想アプリケーションで利用可能にし、ChromeOSのユーザー体験を向上させたことが、Googleによる買収に結び付いた。
Googleは、WindowsアプリケーションをChromeOSに簡単に導入できるようにした。ChromeOSの管理画面で「レガシーアプリケーション」をドロップして、アプリケーションの設定を完了すれば、ChromeOSを実行するデバイスのシステムトレイにそのアプリケーションが表示される。利用するChromeOSデバイスは、Googleの「Chromebook」でも、「ChromeOS Flex」を実行できるようにした再利用デバイスでも構わない。
次回は、GoogleによるCameyo買収がクライアントデバイス市場に及ぼす影響を考察する。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
エンタープライズ向け技術は、Linuxを中核に据え、オープンソースで動作しているものが多い。しかし近年、一部のベンダーが契約による囲い込みを強めており、ベンダーロックインのリスクが高まっている。安定したLinux運用を実現するには?
ITサービスへの要求は年々増大しており、その対応を手作業でカバーするには限界がある。そこで導入されるのがITSMツールだが、特に自動化機能には注意が必要だ。自社に適した運用自動化や作業効率化を実現できるのか、しっかり吟味したい。
業務効率を高めて生産性を向上させるために、多くの企業がITシステムの導入を進めている。しかし、自社の業務に合わないITシステムを導入してしまっては、逆に生産性が低下する可能性も高い。この問題をどう解決すればよいのだろうか。
世界中で広く利用されているChromeブラウザは、業務における重要なエンドポイントとなっているため、強固なセキュリティが必要となる。そこでChromeブラウザを起点に、企業が安全にWebへのアクセスポイントを確立する方法を紹介する。
Google Chromeの拡張機能は生産性の向上に不可欠な機能であり、ユーザーが独自にインストールできる一方、IT管理者を悩ませている。ユーザーデータを保護するためにも、効率的な運用・監視が求められるが、どのように実現すればよいのか。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。