プライベートクラウドの無駄をなくす「賢いコスト最適化」の方法とはプライベートクラウドのコスト抑制方法【後編】

プライベートクラウドではインフラを自社で専有できるため、パブリッククラウドに比べて自由にITリソースを使いやすい。プライベートクラウドのコストを最適化する方法を紹介する。

2024年10月11日 05時00分 公開
[Chris TozziTechTarget]

 クラウドインフラを自社で専有する「プライベートクラウド」のコスト効率は、適切な構成や利用方法によって高めることができる。場合によってはパブリッククラウドよりも投資利益率(ROI)の高い選択となる。プライベートクラウドのコストを最適化するための6つのベストプラクティスのうち、4~6個目を紹介する。

プライベートクラウドの「賢いコスト最適化」の方法

会員登録(無料)が必要です

4.ソフトウェアライセンスにかかるコストを最適化する

 プライベートクラウドで利用するソフトウェアのライセンスを新たに購入するよりも、他のインフラ で利用しているライセンスを移転させることを検討しよう。例えば、パブリッククラウドで実行している仮想マシン(VM)のOSライセンスを所有している場合、プライベートクラウドで利用するサーバにそのライセンスを移転できるかどうかを確認しよう。

 ライセンス移転のルールはベンダーによって異なるため、ライセンス契約の詳細を確認して移転が可能かどうかを確認する必要がある。移転が可能な場合、新しいライセンスを購入するよりもコスト効率が良くなる可能性がある。

5.コスト配分を適切にする

 各部門やプロジェクトにコストを適切に配分することが重要だ。チャージバック(コスト配賦)モデルを検討するべきだ。チャージバックはクラウドサービスのコストを事業部門やプロジェクトに請求する支払いモデルだ。

 チャージバックを導入することで、各部門やプロジェクトのコストを適切に記録し、クラウドインフラへの支出をより詳細に把握できる。 特定のプロジェクトが割り当てられたプライベートクラウドのリソースを過剰に消費しているか過小に消費しているかを判断できる。

 チャージバックを実現するには、プライベートクラウドのサーバのリソースがどの程度使用されているか、それを使用しているのはどの部門なのかを監視する必要がある。例えば、開発やテストに関するタスクがサーバスペースの20% を占めていることが分かったとしよう。開発チームが会社で契約したサーバスペース の5分の1を消費していることが分かれば、それに基づいて特定のコストを適切な部門に割り当てることができる。

6.クラウドバーストを検討する

 プライベートクラウドにおける一般的なコスト管理の課題の一つは、一時的に負荷が急増することへの対処だ。負荷が高まるほど、より多くのインフラが必要になる。しかし、そのインフラを一時的にしか使用しない場合、インフラのROIは優れたものにはならない。ピーク時の負荷に合わせてITインフラを導入および設計すると、リソースが無駄になり運用コストの効率が悪化するリスクが高まる。

 この課題を軽減する一つの方法は、プライベートクラウドのアプリケーションの処理を、一時的にパブリッククラウドに切り替える「クラウドバースト」だ。負荷がピークに達したときに追加のインスタンスをパブリッククラウドで立ち上げられるようにアプリケーションを構成することで実現する。その後、負荷が収まったタイミングでパブリッククラウドのインスタンスをシャットダウンしてプライベートクラウドでのみアプリケーションを実行する。

 クラウドバーストにより、継続的なコストをかけることなく、必要なときに追加のインフラを取得可能だ。ただし、事前にプライベートクラウドのアプリケーションがパブリッククラウドでも問題なく動作することを確認する必要がある。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

無計画なハイブリッドクラウドが招く弊害、次世代のITインフラでどう解消する?

クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。

市場調査・トレンド 日本ヒューレット・パッカード合同会社

ハイブリッドクラウド環境におけるワークロードの配置を最適化する方法とは?

ワークロードを最適な環境に配置できる手法として注目され、多くの企業が採用しているハイブリッドクラウド。しかし、パフォーマンス、法令順守、コストなどが課題となり、ハイブリッドクラウド環境の最適化を難しくしている。

市場調査・トレンド 株式会社QTnet

業種別の利用状況から考察、日本企業に適したクラウドサービスの要件とは?

システム基盤をオンプレミスで運用するか、データセンターやクラウドで運用するかは、業種によって大きく異なる。調査結果を基に、活用の実態を探るとともに、最適なクラウドサービスを考察する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...