STEM(科学、技術、工学、数学)系の科目を専攻する女子学生は増えている一方で、それがIT業界で働く女性の増加には必ずしもつながっていない現実がある。何が原因なのか。
STEM(科学、技術、工学、数学)系の科目を専攻する女子学生は着実に増えている。だが、それがIT業界で働く女性の増加には必ずしもつながっていない現実がある。IT業界では何が足りていないのか。ITなどのSTEM分野で活躍する人材を増やすために必要な視点について、専門家の意見を踏まえて解説する。
2024年、英国の大学入学資格「Advanced Level General Certification of Education」(GCE A Level)で「コンピューティング」科目を選択した学生のうち、成績優秀の「A*」評価を獲得した学生は2023年の5.3%から5.8%に増加した。男女比を見てみると、男子学生の5.6%が「A*」を取得したのに対し、女子学生での割合は6.8%だった。C評価以上では男子66.4%に対して女子70.4%、B評価以上では男子45.2%に対して女子49%、A評価以上は男子23.4%に対して女子26.5%だった。このように、女子学生は男子学生よりも高い成績を収める傾向にあった。
しかし、男性優位のイメージが強いSTEM分野でキャリアを始めることに不安を抱く女子学生は依然として多い。ITコンサルティング企業Node4でプラクティスオペレーションディレクターを務めるマメイリード・オコナー氏は、「女性はSTEM分野で少数派であっても活躍できる」というイメージを広めるために、次世代が目指せるような女性のロールモデルを増やすことが重要だと強調する。
女性のロールモデルを増やすという観点から重要視されるのが、企業によるスキル補完の取り組みだ。オンライン学習ポータルLearnUponで人材部門責任者を務めるベッキー・ウォレス氏は、「女性の離職を防ぐ上で、トレーニングの提供が重要なポイントになる」と強調する。女性は出産や育児を機に、仕事を辞めざるを得なかったり、キャリアで後れを取ってしまったりする可能性がある。復帰を支援するための研修やトレーニングプログラムを企業が提供することは、女性の離職を防ぐ上で有効だ。
さらにウォレス氏は、管理職向け研修の重要性についても言及する。管理職は、自身に内在するバイアス(偏見)を打ち消し、職場で働く女性をどう支援すべきかを理解する必要がある。
コンピューティング科目を選択する学生が増える一方で、キャリアを積んでいく過程でドロップアウトしてしまう人は性別に関係なく存在する。こうした背景を踏まえて、専門家は「多様な人材が持つ能力を適切に引き出すこと」の重要性を指摘する。
コンサルティング企業Accentureでマネージングディレクターを務めるカミラ・ドレジャー氏は、「多様な経験やバックグラウンドを持つチームを構成することが成功の鍵だ」と話す。これまでにないスピードで技術が進化し、人工知能(AI)技術などの新しい技術が台頭する中で、求められるスキルは絶え間なく変化している。こうした中では、基本的なデジタルスキルを身に付けることが重要となる。「何の科目を専攻するかよりも、基本のデジタルスキルをベースに仕事で能力を発揮できるかどうかが重要となる」(ドレジャー氏)
大手電機メーカーSchneider Electricで英国、アイルランド、ベルギー、オランダのプレジデントを務めるケリー・ベッカー氏は、インターンシップ制度について言及する。GCE A Levelの受験後、学生は大学に進むか、仕事に就くかを考える。「大半の学生が大学進学を選ぶが、インターンシップ制度のような代替の進路についても視野に入れるべきだ」とベッカー氏は話す。インターンシップ制度では、実際に仕事に取り組みながらビジネスや技術を学ぶことができ、迅速なキャリアアップが可能になる。ベッカー氏によれば、インターンシッププログラム経由で昇進した人もいるという。
LearnUponで学習、イネーブルメント、インクルージョン担当ディレクターを務めるアイスリング・マクナマラ氏は、「絶え間なく技術が進化する中で、従業員に対する継続的なスキル支援が欠かせない」と話す。働く環境や携わる技術が変化しても価値を発揮できるよう、継続的な支援を提供することで、従業員の定着率向上につながる。
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