「コンピュータを学ぶ女子」が増えてもIT業界は素直に喜べない理由STEM女子とIT業界の未来【前編】

STEM(科学、技術、工学、数学)系の科目を専攻する女子学生の数は、年々増加傾向にある。しかし、この状況を手放しに喜べない理由がある。

2024年10月07日 07時00分 公開
[Clare McDonaldTechTarget]

関連キーワード

人事


 男性中心のイメージが強いSTEM(科学、技術、工学、数学)分野において、その分野に進もうとする女性の数は着実に増えている。これは一見すると、人材不足や多様性が欠如するIT業界にとって喜ばしい状況だが、IT業界はその状況を手放しには喜べないのが現実だ。背景にどのような人材の問題があるのか。

IT業界は「コンピュータを学ぶ女子」の増加を素直に喜べない?

 英国の大学入学資格「Advanced Level General Certification of Education」(GCE A Level)において、「コンピューティング」の試験科目を選択する女子学生が増えている。2024年には同試験の女性受験者が3000人を超え、2023年から約30%増加する見込みだ。これは過去数年で最大の対前年比増加率となる。

 2020年から2024年までを振り返ると、英国でGCE A Levelのコンピューティング科目を選択した女子学生の数は、

  • 2020年は1797人
  • 2021年は2031人
  • 2022年は2352人
  • 2023年は2765人
  • 2024年は3556人

と、着実に増加している。

 しかし、これはSTEM分野に進む女性を増やすための第一歩に過ぎない。重要なのは、同分野の女性を“つなぎ止めること”だ。オンライン学習ポータルを提供するLearnUponで人材部門責任者を務めるベッキー・ウォレス氏は、「STEM分野では、依然として男性優位な職場が多く、働きづらさを感じる女性は少なくない」と話す。女性の離職率を下げるためには、女性が働きやすい環境を築くことが重要だ。加えて、女性のSTEM分野進出を支援する社会的な仕組みも整備する必要がある、とウォレス氏は強調する。

 男子学生も含め、コンピューティング分野を専攻する学生は年々増加傾向にある。2024年の学生数は2万370人と、2023年の1万8306人から約11%増加している。一方で、GCE A Levelで選ばれた専攻科目の上位10位にコンピューティングは入っていない。

 学生がコンピューティング科目を選ばない理由はさまざまだ。例えば、コンピューティン分野に進んだ後のキャリアがどのようなものか、コンピューティングを学ぶことが将来どう役立つのかなど、将来のキャリアイメージを学生が描きにくいこと。他には、2024年に「情報通信技術」(ICT)の科目が廃止されたことが、コンピューティング分野を専攻する学生の増加に影響しているという指摘もある。


 次回は、STEM業界における女性活躍を支援するために重要なことを解説する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

髫エ�ス�ス�ー鬨セ�ケ�つ€驛「譎擾スク蜴・�。驛「�ァ�ス�、驛「譎冗樟�ス�ス驛「譎「�ス�シ驛「譏懶スサ�」�ス�ス

製品資料 ServiceNow Japan合同会社

生成AIで「ローコード開発」を強化するための4つの方法

ビジネスに生成AIを利用するのが当たり前になりつつある中、ローコード開発への活用を模索している組織も少なくない。開発者不足の解消や開発コストの削減など、さまざまな問題を解消するために、生成AIをどう活用すればよいのか。

製品レビュー 発注ナビ株式会社

システム開発の4つの手法とは? システム開発の流れや専門用語を基礎から解説

システム開発を任されても、「何から始めたらよいのか分からない」という担当者は多いだろう。そこで本資料では、システム開発の流れや専門用語といった基礎知識を分かりやすく解説するとともに、システム開発の4つの手法を紹介する。

製品資料 株式会社AGEST

短納期化が進むシステム開発、なぜテストのアウトソーシングが増えているのか

システムの不具合によるさまざまなリスクを回避するには網羅的なテストを行う必要があるが、自社で行うのは難しい。そこで活用したいのが外部のテスト専門会社だ。本資料ではテスト専門会社を活用するメリットや具体的な流れを解説する。

製品資料 サイボウズ株式会社

レガシーシステムからどう脱却する? 今の時代の基幹システムの在り方

レガシーシステムからの脱却が叫ばれる中、「ERP×ノーコードツール」のアプローチで基幹システムの刷新に取り組む企業が増加している。その推進に当たっては、「Fit to Company Standard」の概念を頭に入れておくことが必要になる。

製品資料 株式会社ビルドシステム

「ローコード開発×内製化」失敗の理由とは? 3つの事例から得た2つの教訓

迅速なサービスの提供を実現する手段として、「ローコード開発×内製化」が注目されている。エンジニア不足の中でも、非IT部門が開発を担える点がその理由の1つだが、全てが順調に進むわけではない。失敗事例から得た2つの教訓を紹介する。

アイティメディアからのお知らせ

From Informa TechTarget

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ

「テレワークでネットが遅い」の帯域幅じゃない“真犯人”はこれだ
ネットワークの問題は「帯域幅を増やせば解決する」と考えてはいないだろうか。こうした誤解をしているIT担当者は珍しくない。ネットワークを快適に利用するために、持つべき視点とは。

繧「繧ッ繧サ繧ケ繝ゥ繝ウ繧ュ繝ウ繧ー

2025/07/13 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news017.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...