2025年のストレージ市場は“AI規制法”のおかげで活性化する?大量のデータを保管する必要性

2025年のストレージ市場は明るい見通しだ。一部の企業が、大量のデータを保管する必要性に迫られる事情があるためだ。どのような事情があるのか。

2025年01月29日 05時00分 公開
[Simon QuickeTechTarget]

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 AI(人工知能)技術を活用するには、分析対象となるデータの保持が必要だ。そうしたニーズを受け、ストレージへの関心が高まっている。ただし、2025年にストレージの需要増が見込まれる理由はそれだけではない。一部の企業は、より大量のデータを保管する必要性に迫られる可能性がある。どのような事情があるのか。

“法規制”のおかげで活性化する?

 ストレージ市場の活性化が見込まれる要因の一つは、コンプライアンス上の理由だ。欧州連合(EU)では2024年8月に「AI法」(Artificial Intelligence Act)が発効し、25年2月から段階的に施行される。同法は企業に対し、従業員にAIリテラシー(AIにひも付くデータを適切に扱い、分析して判断できる能力)の習得を促すこと、AI技術を用いた意思決定の根拠となるデータを提示できるように保持しておくこと、などを求めている。

 「AIによる意思決定で利用したデータを将来の検査やコンプライアンスのために保存するようになれば、ストレージ市場の活性化につながる」。HDDベンダーSeagate Technologyのアンディ・パーマー氏(エンタープライズデータ&クラウドソリューション部門の英国責任者)はこう説明する。

 ただしパーマー氏は、AI技術の導入が進んだり、AI法の影響が現れたりするには時間がかかると予測している。ユーザー企業が、AIによる意思決定と従来の方法で下した意思決定を比較するためだ。パーマー氏は「AIが信頼を得るには、時間がかかる」と述べる。企業からの信頼を勝ち取れれば、「ストレージ市場は劇的に成長する」と同氏は言い添える。

 「他社がAIアプリケーションを導入しているという理由で、AI技術の活用を検討している企業が複数ある」こともパーマー氏は指摘する。このことは、ストレージベンダーにとって2025年のビジネスチャンスになると述べる。

 人間に代わってさまざまなタスクを自動的に実行する「AIエージェント」の登場も、ストレージベンダーのビジネスチャンスになるとパーマー氏は予測する。ユーザー企業が顧客とのやりとりにAIエージェントを活用すれば、データ量は増えるためだ。

 一方、企業が大量のデータを整理してバイアスや重複を取り除き、より良い意思決定ができるよう、ストレージベンダーの支援が求められているとパーマー氏は説明する。AIの法規制に関する知識を持つことも重要だという。

 「企業がAIエージェントを搭載するアプリケーションや機能を使い始めると、ストレージベンダーにはビジネスチャンスが生まれる」とパーマー氏はみている。

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