IT業界人なら住みたくなる「通勤ストレスがない米都市」は?通勤時間が短い米都市10選【前編】

通勤時間が短いことは、個人のストレスを軽減することに加え、環境への配慮にもつながる。米国でIT分野の職に就く人が、自身のキャリア形成とワークライフバランスの両方を実現できる米国の10都市をまとめた。

2025年03月01日 08時15分 公開
[Kinza YasarTechTarget]

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 IT業界に従事する人は、長時間労働や厳しい締め切りに追われることがしばしばだ。活気ある都市にある職場に、短時間でストレスなく通勤できれば、ワークライフバランスの向上に近づく。

 通勤が楽になれば、創作活動や社交、レジャーに充てられる時間が増え、ワークライフバランスの向上だけではなく、環境面や家計面にもメリットが期待できる。運転時間が減ればガソリン代も減り、車の消耗も抑えられ、カーボンフットプリント(人間活動が排出する温室効果ガスを二酸化炭素に換算した指標)の削減につながる。本連載は、IT産業が活況で、通勤が楽な全米10都市を紹介する。

IT業界人が住みたくなる都市はどこ?

 ライドシェア事業者Lyftは2024年8月、米国在住の18歳以上1404人を対象としたアンケート調査、自社ライドシェアサービスのデータを分析した。その結果を、米国勢調査局のデータなど複数の公的データソースで補完し、人口50万人以上の米国35都市を対象に、通勤しやすい都市を評価した。

 以下はLyftの調査結果に加えて、求人サイトIndeedやIT分野のオンライントレーニングサイトTripleTenに掲載された情報に基づき、通勤が楽な米国の10都市をまとめた。各数値は以下を参照に算出している。

  • 平均通勤時間
    • 2022年の米国勢調査
  • 月間駐車場料金
    • オンライン駐車場予約サービスSpotHeroのデータ(2024年8月における各都市の駐車場料金の最安値)
  • 月間燃料費
    • 米エネルギー情報局(EIA:Energy Information Administration)による2024年8月の統計データ
  • 月間公共交通機関料金
    • 2022年の各都市の公共交通機関における月額パスの料金
  • 通勤時の平均速度
    • Lyftのライドシェアサービスで、2023年8月から2024年8月の通勤時間帯(午前6時から午前10時、午後4時から午後8時)における職場への、または職場からの乗車時平均速度

1.ミルウォーキー(ウィスコンシン州)

 ミルウォーキーは、Lyftが調査対象とした35都市のうち、平均通勤時間が最も短い都市の一つで、燃料費も月額25ドル以下と少なかった。市の中心部に勤務する労働者の大部分は半径10マイル(16キロ)圏内に住んでおり、特に勤務先の近くで暮らす人にとって通勤の利便性が高い。平均通勤時間は21.7分だ。

 ウィスコンシン州の個別化医療を発展させることを目的としたコンソーシアムWisconsin Biohealth Tech Hubは2024年7月、連邦政府からIT・イノベーションの拠点となる地方都市として12都市の一つに認定され、4900万ドルの助成金を獲得した。同コンソーシアムのバイオテクノロジー分野におけるイノベーションへの注力が認められた形だ。

2.コロンバス(オハイオ州)

 コロンバスは平均通勤時間22分と、通勤者にとって理想的な都市だと言える。Lyftの調査によれば、人口密度の低さから、駐車場利用料もニューヨークなどの大都市(月額350ドル超)と比べてはるかに少ない。このためコロンバスは、自家用車での通勤者にとっても、公共交通機関を利用する労働者にとっても、魅力的な都市となっている。

 通勤が楽なことに加えて、コロンバスは生活の質が高く、世界的なIT拠点としても急速に台頭している。スタートアップ(新興企業)に関する調査企業StartupBlinkが、スタートアップの成長を促す地域をランキング形式でまとめた「Global Startup Ecosystem Index 2024」で、スタートアップ294社を擁するコロンバスは世界88位だった。ソフトウェアエンジニア、データサイエンス、サイバーセキュリティといった分野での高収入なIT技術職もある。

3.メンフィス(テネシー州)

 平均通勤時間22分でコロンバスと肩を並べるメンフィスは、公共交通機関を使う通勤交通費の平均が月額25ドル前後と、非常に経済的だ。Greater Memphis Chamber(グレーターメンフィス商工会議所)の経済促進プロジェクト「Memphis Moves」の推計によれば、地下鉄の通勤時間は米国で6番目に短く、生活費は全米平均を10.6%下回る。

 メンフィスは重要なIT産業拠点として浮上しており、将来性が見込める。実業家イーロン・マスク氏のAI(人工知能)ベンダー「xAI」は、同社初のスーパーコンピュータ施設「Gigafactory of Compute」の拠点にメンフィスを選んだ。同社はこの施設に数千基のプロセッサを集積して大規模な計算課題に取り組む計画であり、メンフィスの主要都市としての地位確立とIT業界における雇用創出が見込める。

4.フレズノ(カリフォルニア州)

 通勤時間の平均が22.9分、通勤時の平均速度が時速26.2マイル(約42キロ)というフレズノは、IT業界で働く人がバランスの取れた生活スタイルを求める際に検討すべき都市だ。サンディエゴなど、カリフォルニア州内の他都市に比べると通勤時間も短い。サンフランシスコをはじめ大都市にも近く、さまざまな交通手段でアクセスしやすいことから、IT業界での雇用機会が望める。

 他都市と同様にフレズノのIT産業も発展中で、ソフトウェア開発者は専門職の中でも特に人気の職種だ。ただし給与比較情報を提供するPayscaleによれば、フレズノの生活費は全米平均を上回ることがある。


 次回は、5〜10個目の都市を紹介する。

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