量子コンピューティングもお手上げ? NISTが選んだ「次世代暗号」3選「PQC」移行のこつ【後編】

非常に高度なデータ処理が可能な量子コンピューティングの登場に備え、企業はデータの暗号化を強化する必要がある。現在実装できる「PQC」アルゴリズムを3つ紹介する。

2025年10月13日 05時00分 公開
[Kyle JohnsonTechTarget]

 量子コンピューティング(量子力学を用いて複雑なデータ処理を実施する技術)は、商用化されれば、攻撃者から暗号化されたデータの解読に悪用される恐れがある。企業はデータを守るために、量子コンピューティングを使ってもデータの解読が難しい「ポスト量子暗号技術」(PQC)に移行しなければならない。米国立標準技術研究所(NIST)が標準化した3つのPQCアルゴリズムとは。

3つのPQCアルゴリズムと、もう一つの手段「QKD」

 NISTは2024年8月、量子コンピューティングによる解読に耐えるものとして、以下の3つのPQCアルゴリズムを選定した。

  • 「ML-KEM」(旧名称「CRYSTALS-Kyber」)
    • 鍵カプセル化機構(KEM:Key Encapsulation Mechanism)に分類されるアルゴリズムだ。鍵カプセル化機構とは、データの送信者と受信者の共通鍵を暗号化(カプセル化)し、受信者がそれを秘密鍵で復号する仕組みを指す。
  • 「ML-DSA」(旧名称「CRYSTALS-Dilithium」)
    • 格子ベース(格子構造を利用した)暗号の電子署名アルゴリズム。デジタル署名を生成し、認証を実施する。
  • 「SPHINCS+」
    • システムの過去のやり取り情報を保持しない「ステートレス」で、ハッシュ値(不規則な文字列)に基づいた署名スキーム。署名のサイズを抑えて署名の速度を上げられる。

 セキュリティ専門家は、企業が複数のPQCアルゴリズムを採用し、1つのPQCアルゴリズムに依存しない、強固なデータ保護の仕組みを作ることが重要だと指摘する。

 PQCアルゴリズムに加え、企業は「量子鍵配送」(Quantum Key Distribution:QKD)の採用も検討できる。QKDは、量子力学を利用してランダムに生成された共通の秘密鍵でデータを暗号化・復号する技術だ。調査会社Omdiaのアナリストを務めるリック・ターナー氏によると、企業はPQCアルゴリズムとQKDを組み合わせれば、攻撃者が両方を突破する必要があるため、データ保護を強められる。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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