Salesforceが「Agentforce 360」を日本国内で提供開始 CRMとの連携で何ができるのかAI技術を軸にサービスを再編する

SalesforceはAIエージェントサービス群「Agentforce 360」を日本国内で提供開始した。他のAIエージェントサービスと比べたときの特徴とは。

2025年12月05日 11時30分 公開
[TechTargetジャパン]

 SalesforceはAIエージェントサービス群「Agentforce 360」を日本市場向けに提供開始した。同社は2024年に「Agentforce」を発表して以降、4回のバージョンアップを実施している。Agentforce 360は同社の製品ラインアップを再編成した最新バージョンで、単一のインフラでアプリケーションとデータ、メタデータ、AIエージェントを一元管理できる点が特徴だ。

AIエージェント市場におけるAgentforce 360の特徴とは

 日本で提供されるAgentforce 360の主なサービスは、AIエージェントサービスの「Agentforce 360 Platform」とデータ連携サービスの「Data 360」、業務アプリケーション群の「Customer 360」、ビジネスチャットツールの「Slack」だ。

 Agentforce 360 Platformには会話型AIエージェント開発ツールの「Agentforce Builder」やIVR(Interactive Voice Response:自動音声応答)システムに組み込むことで応対内容を処理する音声AIエージェントの「Agentforce Voice」、バイブコーディングツールの「Agentforce Vibes」などが含まれる。これらの機能は2025年から2026年にかけて順次提供される。

 旧Data Cloudを再編したData 360は、非構造化データを含む情報のデータ変換機能や、データの一元管理機能を強化した。PDFや図表などの非構造化コンテンツをトラブルシューティングや分析のためにAIエージェントで利用可能にする「Intelligent Context」や、「Clean Rooms」「Unstructured Data Governance」といったデータガバナンス関連機能を搭載する。

 Customer 360は、営業やマーケティング、ITサービスなどの業務ごとにAIエージェントが実務を支援するアプリケーション群だ。クラウド型CRM(顧客関係管理)システムの「Agentforce Sales」(旧Sales Cloud)やカスタマーサービス向けアプリケーションの「Agentforce Service」(旧Service Cloud)、AIエージェントによってチケットのやりとりを省力化するITサービス管理(ITSM)ソフトウェアの「Agentforce IT Service」などが含まれる。SalesforceはCustomer 360のアプリケーションと他のAgentforce 360のサービスを組み合わせて利用することで、さまざまな業務にAIエージェントを組み込み、顧客体験や従業員体験の向上と業務効率化につなげられると説明する。

 Slackには文書の作成支援やメッセージの要約、音声・ビデオ会議のメモ作成など、コンテキスト(文脈)を認識するアシスタント機能の「Slackbot」や、アプリケーションの対話型インタフェースとして機能する「Slackファーストアプリ」、特定のSlackチャンネル内でよくある質問への回答や情報の検索、人間への引き継ぎを担う「Channel Expert Agent」などの機能を追加する。

 SalesforceはAgentforce 360の強みとして、AIエージェントやデータ管理システム、業務アプリケーションが単一のコードベースで実行されることで、営業やマーケティング、生産といった組織全体にわたるシームレスなデータ活用やAIエージェントの導入が可能になることを挙げる。同社はAIエージェントの活用実態をグローバルで調査した「エージェンティック エンタープライズ インデックス」という指標を公開している。同調査によると、消費者向け産業、特に小売や旅行・ホスピタリティ、金融サービスがいち早くAIエージェントを導入しているという。

 日本国内では既に、顧客向けのチャットbotの運用や、商談時の顧客の要望に合わせた商品の自動提案といった用途でAgentforce 360が利用されている。Salesforceは業界や事業規模を問わず、AIエージェントやデータの活用を検討する企業に向けて、Agentforce 360の提案を拡大する意向だ。

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