新型コロナウイルス感染症のパンデミックを機にワークライフバランスへの関心が高まり、週4日勤務(週休3日制)を導入する企業が出てきた。ベルギーやオーストラリアなど各国で試験導入された結果を紹介する。
新型コロナウイルス感染症のパンデミック後、さまざまな新しい働き方の潮流が生まれた。とりわけ注目すべきは在宅勤務への移行だったが、2025年現在、多くの企業が従来の出社中心の働き方に転換し、元に戻りつつある。そうした中、週4日勤務(週休3日)という考え方だけは残っている。
週4日勤務という発想自体は新しいものではなかったが、2020年にワークライフバランスへの関心が高まると、急速に注目を集めた。世界的なパンデミックが発生し、多くの労働者が自らの働き方を見直す中で、仕事とプライベートの双方で「何を最重要とするか」を再検討するようになった。その結果、多くの人々が仕事と余暇のバランスを見直し、労働時間の短縮をもたらした。
ベルギーでは2022年2月、従業員に対し、週5日勤務を週4日勤務に短縮する選択肢を与える法律が制定された。従業員が週4日勤務を選択した場合、労働時間は1日当たり9.5時間となる。
ベルギーは短時間労働制の試験運用を始めた最初の国ではない。2015年と2017年には、アイスランドが2500人の労働者を対象に、週40時間の労働時間を35〜36時間に短縮し、賃金は据え置いた。2021年6月に公表された報告書によれば、生産性は多くの分野で維持されるか、むしろ向上したとされる。参加した労働者は、ストレスや燃え尽き症候群が抑えられ、健康状態の改善、ワークライフバランスの向上が見られた。
2022年8月、オーストラリアでは26社の企業が週4日勤務を試験的に導入。2023年9月にはブラジルでも22社が9カ月間にわたる試験運用を実施した。
こうした試験的な導入が成功を収めたにもかかわらず、特に米国では広範な導入には至っていない。新型コロナウイルス感染症が流行してから5年が経った今、多くの企業は新しい働き方を試すのではなく、従来通りの働き方へ戻ろうとしている。
しかし、週5日勤務がもはや従業員・企業の双方にとって最適ではないという証拠は積み上がっている。特に従業員にかかるストレスが大きい業界の企業は、優秀な人材を引き寄せ、定着させる方法を模索しており、米国の企業でも週4日勤務が積極的に採用される可能性がある。
次回は、週4日勤務が推進される背景を解説する。
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