テレワークの普及とともに「週4日勤務」(週休3日制)が注目を集め、世界各国で試験的な導入が進んでいる。筆者は「週5日勤務はもはや最適ではない」と主張するが、その根拠は何か。
週4日勤務(週休3日制)は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが発生し、ワークライフバランスへの関心が高まる中で、テレワークとともに注目を集めた。第1回「週5日勤務はコスパが悪い? 実証された『週休3日制』の“動かぬ証拠”」で言及したように、ベルギーやオーストラリアでは試験的に導入した企業も多く、筆者は「週5日勤務はもはや従業員・企業の双方にとって最適ではない」と主張する。
在宅勤務が標準的な働き方となって間もなく、従業員はテレワークがもたらす柔軟性を高く評価するようになった。調査会社WFH Researchが継続的に実施している「米国の働き方と意識に関する調査」(SWAA:Survey of Working Arrangements and Attitudes)によると、2022年時点、テレワークをする従業員が考える在宅勤務のメリットは、通勤が不要になること(49.2%)、スケジュール管理が柔軟になること(42.9%)、出社準備の時間が減ること(40.4%)だった。
通勤がないことは従業員のウェルビーイングに好影響をもたらすだけではない。全米経済研究所(NBER:National Bureau of Economic Research)の試算によると、在宅勤務者は1日当たり平均72分、1週間だと約6時間を節約できる。これに昼休憩1時間と30分の小休憩を加えると、ほぼ丸一日分の勤務時間に相当する余剰の時間が生まれる。
従業員が「1日分の余剰時間が生まれる」と分かれば、より多くの時間を仕事に割こうとする可能性はある。在宅勤務の方が生産性が高い従業員もいる。多くの人がオフィス特有の雑音や割り込み業務がなければ、通常8〜9時間かかる作業量を6〜7時間でこなせることに気付いた。場合によっては、4日間で5日分の仕事を終えられるため、週のうち1日を休みに充てられる。
こうした状況を受け、一部の経営者は働き方改革を推進するため、従来の労働時間を見直す動きを始めた。週4日勤務を試験的に導入する場合、従業員には「短い週の中で業務を終えることができれば、より長い休暇を得られる」というモチベーションを与えられる。業績に悪影響がなく、むしろ改善した場合、これらの制度は恒久化されるだろう。2022年のオーストラリアの試験導入後には、参加企業の95%が週4日勤務を正式に導入した。
ただし、テレワークのメリットを裏付けるデータは存在するものの、出社勤務とテレワークのどちらが効率的かについては、経営層の間でコンセンサスが得られていない点に注意が必要だ。Amazon.comなど多くの企業が、テレワークの方針を撤回し、出社を義務付けている。こうした懐疑的な姿勢は週4日勤務にも向けられており、米国での導入率が低い理由の一つと考えられる。
次回は、週4日勤務のメリットと移行方法を紹介する。
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