「週5日出社」なら4割が辞める? “時代遅れ”な職場の代償週5日勤務が終焉する?【第3回】

企業が優秀な人材を獲得するためには、在宅勤務やハイブリッドワーク、週4日勤務など、従業員が時間に追われない労働環境を整えることが必要だ。米国の調査によると、柔軟な働き方を許さない職場は人材流出を招く可能性が高い。

2025年12月20日 07時00分 公開
[Madeleine StreetsTechTarget]

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 企業が優秀な人材を引き付けるには、従業員が時間に追われない労働環境を用意することが求められる。在宅勤務やハイブリッドワーク(テレワークと出社勤務の組み合わせ)、そして週4日勤務(週休3日制)の導入が一例だ。多くの求職者がこうした条件を重視している。

「週5日出社」なら4割が辞める? 調査で判明したリスク

 米国のシンクタンクPew Research Centerが2024年10月に実施した調査では、米国の労働者の46%が「在宅勤務ができなくなった場合、現在の職場にとどまる可能性は低い」と回答した。現在テレワークをしている人に限定すると、その割合は61%に上昇した。

 調査会社WFH Researchが2025年6月に実施した「米国の働き方と意識に関する調査」(SWAA:Survey of Working Arrangements and Attitudes)でも同様の結果が示された。雇用主が新たに「週5日の出社」を義務付けた場合、12.3%が「退職する」、41.1%が「新しい職を探し始める」と回答した。

 これほど多くの従業員が柔軟な働き方を重視する中、従来の週5日勤務に固執する企業も、従業員の抵抗に直面する可能性が高い。

 ストレスの低減、燃え尽き症候群のリスク低下などは、週4日勤務のメリットとしてしばしば挙げられるものだ。労働時間が短縮されれば、従業員はプライベートの時間を有効活用でき、仕事に戻るまでに十分な休息を取ることができる。

 仕事の成果も向上する可能性がある。短時間労働制の根本にある考え方は、「従業員が働いた時間ではなく、仕事の成果に対して賃金が支払われるべきだ」というものだ。従業員が「在席時間ではなく成果で評価されている」と理解すれば、より早く質の高い仕事をするようになる。

週4日勤務に移行する“現実的な方法”

 とはいえ、週4日勤務はあらゆる企業に適しているわけではない。週5日勤務から週4日勤務へ移行するには、幾つかの方法がある。

 例えば、24時間365日の運用が前提となるビジネスモデルでは、少なくとも一部のスタッフが勤務しておく必要がある。このような場合は、時差出勤やシフト制を組み合わせることで対処できる。

 優れたマネジャーは、従業員に意見を求め、耳を傾けることを心得ている。週5日勤務を好む従業員もいれば、週4日勤務を望む従業員もいる。双方の意見に耳を傾け、全員が「意見を尊重されている」と感じられる状態を作ることが重要だ。

 週4日勤務を全面導入する前に、まずは1つの部門、あるいは小規模な企業であれば希望者数名から始めるのが望ましい。従業員がメリットを実感し、かつ企業の目標も達成できるようであれば、対象範囲を広げ、最終的には全ての従業員に適用できる。

 従業員の中には、従来通り週5日勤務を望む人もいる。月曜日から金曜日まで1日8時間というスケジュールの方が落ち着く、あるいは短時間労働だと生産性が下がると感じる場合もある。理由によらず、週4日勤務へ移行するかどうかを従業員自身が選べるようにすべきだ。

 在宅勤務やハイブリッドワークでは難しいかもしれないが、企業は従業員が頻繁に休憩することなく集中力を維持し、1日の仕事を進められるように支援すべきだ。これは従業員に「席を立つな」と要求することではない。週4日勤務の場合、1日の業務をこなすにはより集中して取り組む姿勢が求められることを、従業員に理解してもらう必要性がある。

 週4日勤務において、企業は説明会などを通じて、従業員に何を期待するのかを明確に伝える必要もある。従業員に対して「期待している」という姿勢を示すことが重要だ。

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