「生成AIは脅威」が4割 開発者が吐露した“楽になった仕事”と“増えた負担”コード生成の裏で生まれる「新たな苦役」

生成AIで「仕事が減った」はずが、逆に「時間が増えた」作業とは何か。現場エンジニアを対象にした調査から、AIツール導入の“光と影”と、今後エンジニアとして生き残るための「新たな必須スキル」を読み解く。

2025年12月16日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 生成AI(AI:人工知能)の急速な普及は、開発現場の景色を一変させつつある。クラウドインテグレーターであるサーバーワークスが実施した調査によると、生成AIの導入以降、業務内容が「大きく変化した」「やや変化した」と回答したエンジニアは合計で8割を超えた。多くのエンジニアが、従来のコーディングやドキュメント作成といった業務プロセスにおいて、AIツールによる変革を肌で感じている。

 しかし、その内実は単純な「工数削減」だけではない。コーディングにかける時間は減った一方で、皮肉にも“ある作業”の負担が激増しているからだ。AI時代にエンジニアが直面している「効率化のパラドックス」と、現場で今起きている地殻変動が、調査結果から見えてきた。

「AIは脅威」が4割超 現場で起きている“異変”の正体

 この調査は、サーバーワークスが2025年9月29日から10月6日にかけて、日本企業に勤める20歳以上のITエンジニア264人を対象に、働き方やスキルの変化を尋ねたものだ。

 業務プロセスの変化を具体的に見ると、生成AIの利用によって時間が減った業務として「テストコードの生成」(45.1%)や「ドキュメント作成」(44.7%)が上位に挙がった。定型的な作業をAIツールが肩代わりすることで、開発のスピードアップが実現している。

 一方で、時間が増えた業務もある。「AIへの指示(プロンプト)作成」(43.9%)や「AI生成物のレビュー、修正」(42.4%)だ。AIツールを使いこなすための新たな工程が発生しており、エンジニアは単なる自動化ではなく、AIツールとの対話や品質管理に時間と労力を割くようになっている様子がうかがえる。

 興味深いのはエンジニアの心理だ。生成AIを「脅威」と捉える人は約4割で、「相棒」と答えた約3割を上回った。しかし、働きがいについては4割以上が「上がった」と回答している。この結果は、AIが職を奪う存在としての側面を持ちつつも、エンジニアを面倒な作業から解放し、より本質的な業務に集中できる環境を提供していることを示唆している。

 今後重要になるスキルとしては、「AIツールの活用スキル」(24.6%)に加え、「論理的思考力」(14.4%)や「問題解決力」(11.0%)が挙がっており、将来求められるエンジニア像が浮かび上がってくる。コード生成などの実作業をAIツールに任せられるようになった分、エンジニアには「何をどう作らせるか」という上流工程の設計能力や、出力結果の真偽を見極める力がより一層求められるようになっている。「脅威」と「働きがい」が同居する現状は、エンジニアの役割が「作業者」から「AIの指揮官」へと進化する過渡期だと言える。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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