ユニリーバが「脱Azure」 インフラをGoogle Cloudに移行する理由とはAI活用の分岐点

「Microsoft Azure」を利用してきたUnileverが、インフラを「Google Cloud」へ移行する。なぜ同社は安定した環境を捨て、リスクを冒してまで「乗り換え」を決断したのか。

2026年02月18日 17時30分 公開
[Antony AdsheadTechTarget]

 大手消費財メーカーUnilever(ユニリーバ)はGoogleのクラウドサービス群「Google Cloud」の採用を決めた。同社はもともとMicrosoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」(以下、Azure)を使ってきたが、クラウドインフラの大部分をGoogle Cloudに移行する。Unileverが「脱Azure」に踏み切ったのは、なぜなのか。

Google Cloudを選んだ理由はこれだ

 Unileverはサブスクリプションサービス「Microsoft 365」や同サービスの大規模言語モデル(LLM)機能「Microsoft Copilot for Microsoft 365」を引き続き使用するが、主要なアプリケーションやデータはGoogle Cloudに移行する。欧州・中東・アフリカ(EMEA)地域でGoogleのAIマネージングディレクターを務めるアレックス・ラター氏によると、UnileverはGoogle Cloudへの移行によってAI(人工知能)技術を活用してマーケティングを強化する狙いがある。

 AI技術をマーケティングに生かして消費者の購買行動を促す手法を「エージェンティックコマース」と呼ぶ。UnileverはGoogle CloudのAI機能を利用し、マーケティング施策の効果を測定したり、ブランド戦略を強化したりするといったことに取り組む。同社は主要なアプリケーションとデータをGoogle Cloudに統合することによって迅速な分析を可能にし、より深いインサイト(洞察)を得ることにつなげる方針だ。

 Google Cloudは、AI開発サービス「Vertex AI」をはじめ、AI技術を活用しやすくするさまざまな機能を備えている。ラター氏によると、UnileverはAI駆動型のビジネス変革を進めており、その「バックボーンとしてGoogle Cloudを利用する」(同氏)という。

 Unileverは2023年、システムをクラウドに全面移行し、その主なインフラとしてAzureを採用していた。同社は約12万5000人の従業員を有し、全世界でビジネス展開している。当時、UnileverがシステムをAzureに移行することは画期的な取り組みと見なされていた。今回のGoogle Cloudの採用によって、同社はMicrosoftとGoogleのサービスを併用することになる。

 企業が複数のクラウドサービスを組み合わせて使用することは珍しくない。調査会社Gartnerバイスプレジデント兼アナリストのリディア・レオン氏は、「ビジネスや業務の領域によって複数のクラウドサービスを使い分けることが一般的だ」と説明する。同社によると、クラウドプロバイダーの選定をセグメント化している企業は約8割だ。Gartnerはマルチクラウド戦略に関して、システム構成が複雑化し、高度な運用スキルがなければコスト増につながる恐れがあると指摘する。

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