終わらない“個別開発”からの脱出 KDDIはなぜ移行先に「OCI」を選んだのか脱カスタムコードを実現したシステム選定

「自社専用」で開発したシステムは、新サービス投入の足かせになり、運用費を食いつぶす。KDDIはいかにして“手作り”の課金システムから脱却したのか。巨大事業を支えるインフラ選定の裏側に迫る。

2026年03月06日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 ビジネスの成長に合わせてシステムを拡張、改修してきた結果、気付けば「継ぎはぎだらけの迷宮」が完成している。新たなサービスを立ち上げようにも、既存システムとの連携やテストだけで膨大な期間と費用がかかる――。事業を長年展開している企業のIT部門にとって、こうした課題は付き物だ。

 KDDIも同様の課題に直面していた。5G(第5世代移動通信システム)通信や生成AI(AI:人工知能)を軸に、金融やエネルギーなど多様なサービスを急速に展開する同社にとって、通信事業の中核を担う「課金・料金計算システム」の複雑化は、致命的なボトルネックになりつつあった。インフラ費用の高騰に加え、運用に関わる専門的な開発工数が増加し、新サービスの市場投入スピードを鈍らせていたのだ。

 この肥大化した「技術的負債」を解消するために、KDDIは従来の手作りシステムを捨て、Oracleのクラウドサービス「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)で稼働する、クラウドネイティブな課金システム「Oracle Cloud Scale Charging and Billing」への全面移行を決断した。

 基幹システムの刷新は、IT部門にとって「絶対に失敗が許されない」大プロジェクトだ。KDDIは単に「はやりのクラウド」を選んだわけではない。決め手になったポイントと、導入効果を解説する。

「自社開発」という病からの脱却

 KDDIがOracle Cloud Scale Charging and Billingを評価した最大のポイントは、「自社開発からの脱却」にある。

 従来のシステムでは、複雑な料金プランや新サービスを追加するたびに、専門の担当者が手作業でプログラムを書き換える必要があった。新システムでは、Oracle Cloud Scale Charging and Billingが標準で搭載する課金や料金計算、プラン設定といった機能をそのまま活用できる。製品ごとに個別開発をする手間がなくなることで、開発現場の生産性が向上し、システムの信頼性も確保できるようになった。

 システム間連携の自由度も評価を得た。Oracle Cloud Scale Charging and Billingは通信業界の標準API(アプリケーションプログラミングインタフェース)「TM Forum API」を使って外部システムと連携可能だ。スマートフォン用アプリケーションやWebサイトといった顧客接点(デジタルチャネル)を横断した広帯域サービスやコンテンツ配信などにおいて、データから得られる知見に基づいた課金を実現できる。

 約1000件に及ぶユースケースへの適応力や費用削減効果も導入の決め手となった。実施した概念実証では、OCIを用いた無駄のないシステム構成によって、インフラ費用を大幅に削減できることを確認している。日々の維持管理にかかる費用や手間を減らすだけではなく、「浮いた予算や人員を新たな戦略的プロジェクトに振り向ける」という明確な成長ロードマップが、大規模なシステム刷新の強力な後押しになっている。

 KDDIの増田克哉氏(コア技術統括本部 情報システム本部長)は、今回の採用について、同社の長期的な成長戦略を支える上で、事業拡大に合わせて安心して拡張できるインフラである点を評価している。日本オラクルも、クラウドインフラや次世代データ処理システムなどを組み合わせ、KDDIの業務変革と新たな収益機会の創出を支援していく方針だ 。

 目先の機能比較ではなく、「技術的負債をいかに標準機能で吸収し、ビジネスの俊敏性(アジリティー)を取り戻すか」。KDDIの決断は、システム老朽化に悩む企業にとって、脱レガシーに向けたモデルケースだと言える。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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