長年の個別開発が招いた「システムの迷宮」と「担当者不在のブラックボックス」。スターフライヤーが直面したこの危機は、多くの情シスにとっても他人事ではない。解決方法は。
スターフライヤーは、将来の業務環境の変化や制度改正に柔軟に対応できる経営基盤の構築を目的に、Oracle(オラクル)が提供するクラウド型ビジネスアプリケーションスイート「Oracle Fusion Cloud Applications」の財務会計機能を採用した。2026年3月17日、日本オラクルが発表した。現行システムのブラックボックス化や属人化といった課題を解消し、生成AIなどの最新技術を活用した業務改革を推進するという。持続可能な経営基盤を確立し、意思決定のスピードと質を向上させたい考えだ。
北九州市に拠点を置く航空会社のスターフライヤーは、国内線に加え国際線チャーター便を運航しており、現在は国際線定期便の再開に向けた準備を進めている。同社は顧客ニーズを捉えたサービスの提供と同時に、業務プロセスの見直しによる生産性の高い企業経営を推進しており、今回のシステム刷新は、こうした取り組みの一環。法制度改正などへの対応力を備えた強固な経営基盤を実現する狙いがある。
従来の財務会計システムは、長年にわたる個別開発や複数のパッケージ導入を経て運用されてきた。しかし、開発当時の担当者が不在となったことでシステム間の連携やデータフローの全体像が把握困難になり、改修や障害対応に多大な工数と時間を要していたという。また、特定個人に依存する業務継続のリスクや、手作業による非効率な業務負荷が顕在化していたことも課題だった。
システム選定にあたっては、独自のカスタマイズを最小限に抑える「Fit to Standard」のアプローチによるSaaS導入を基本方針とした。Oracle Fusion Applicationsは、標準機能で多くの要件をカバーできる点や、高度なセキュリティを備えている点を評価した。システム間連携を極小化することで運用コストを低減し、短期間での導入が可能であることも採用のポイントとなった。さらに、追加コストなしで四半期ごとに提供される新機能や、組み込まれた生成AI、AIエージェントを迅速に利用できる将来性も決め手になったとしている。
今回のプロジェクトではOracle Fusion Applicationsに含まれる「Oracle Fusion Cloud Enterprise Resource Planning(ERP)」を活用し、財務会計業務の標準化と自動化を進める。これにより、2027年4月に施行される新リース会計制度への対応を確実にするとともに、ガバナンスの強化を図る。最新テクノロジーの活用により、財務経理部門が経営を強力にサポートできる体制を整える考えだ。
スターフライヤー取締役執行役員の湯浅淳一郎氏は、「Oracle Cloud ERPの活用により、財務経理業務の高度化だけでなく、財務情報の可視化と分析によるデータドリブンな経営を推進する」としている。また、「今後の法制度や業界動向の変化にも柔軟かつ迅速に対応可能な経営基盤を構築するとともに、戦略的な役割が求められる財務・経理部門において、生成AIやAIエージェントなどの最新テクノロジーを積極的に活用し、経営判断を支える環境を整備していきたい」と展望している。
(※)この記事は本多和幸氏と谷川耕一氏によるIT事例メディア「CaseHub.News」に掲載された「スターフライヤー、財務会計基盤をOracleで刷新 業務自動化と新制度対応を両立」(2026年3月18日)を、TechTargetジャパン編集部で一部編集し、転載したものです。
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