VM運用の知見をKubernetesに転用 IT管理者のためのクラウドネイティブ移行術「クラウドネイティブ」運用にも慌てない

システムのクラウドネイティブ化が進み、IT管理者は「Kubernetes」という未知の領域に直面している。Microsoftが提唱するのは「既存スキルの転用」だ。VM運用で培ったDNSや通信制御の知見をどう適応させるべきか。

2026年04月17日 05時00分 公開
[TechTargetジャパン]

 企業システムのクラウドネイティブ化が進む中、従来の仮想マシン(VM)管理に慣れたIT管理者は、かつてないジレンマに直面している。コンテナの展開や運用を自動化する「Kubernetes」は、開発スピードを向上させる一方で、インフラの運用が複雑化しやすいからだ。

 この「運用の壁」を前にして立ち止まる必要はない。開発者がアプリケーションの実装に専念できる環境を整えるには、インフラ管理者が持つ「安定稼働のノウハウ」が不可欠だからだ。

 専門家によれば、コンテナを用いたシステムの運用であっても、監視、DNS(ドメインネームシステム)、ネットワーク制御、ガバナンスといったIT運用の本質的な役割は変わらない。Microsoftのマネージドサービス「Azure Kubernetes Service」(AKS)を活用すれば、既存のVM運用の知見を、そのままクラウドネイティブなシステムの運用に持ち込むことが可能だ。

 では、「ファイアウォールの設定」や「パスワード管理」といった実務は、Kubernetesを用いたシステムでどのように形を変え、IT管理者は既知のスキルをどう生かせるのか。

これまでのスキルを無駄にしないKubernetes運用

 以下では、Microsoftの技術カンファレンス「Microsoft Ignite 2025」におけるセッション「Kubernetes for the Rest of Us: Demystifying Cloud-Native for Windows Server admins」の内容に基づき、Kubernetes管理において従来のスキルをどう転用できるかを紹介する。

シークレット管理:イメージから「機密」を切り離す

 システム運用において、データベースの接続情報などの機密情報(シークレット)を、ソースコードやサーバ設定に直接記述するケースがある。こうした管理手法は運用上の懸念を伴うため、推奨されない。

 Kubernetesでは、こうしたシークレットをコンテナイメージから分離して取り扱う仕組みが標準化されている。

  • Azure Key Vaultとの連携
    • AKSでは、機密情報を一元管理するクラウドサービス「Azure Key Vault」と連携し、実行環境にひも付けられたIDを用いて安全に情報を読み出す。
  • VMに近い操作感
    • 読み出された情報は、コンテナ内の特定のフォルダ(ボリューム)として認識される。アプリケーションからは通常のファイルとして扱えるため、ストレージをマウントするVMの操作と近い感覚で運用できる。

 これらの仕組みによって、テスト用と本番用で接続先が異なる場合でも、設定ファイルを書き換える手間なく、安全に稼働環境を切り替えることができる。

ネットワーク管理:ドメイン名によるトラフィック制御

 ネットワーク管理も同様に概念の変換が可能だ。物理インタフェースの割り当てといった「個別のひも付け」から、論理的な「窓口の制御」へと概念を変換できる。具体的には、外部からの通信を一括で受け付け、適切なサービスへ振り分ける「窓口」として機能する「イングレスコントローラー」を利用する。IT管理者は、IPアドレスを意識することなく、DNSのドメイン名によってトラフィックを制御可能だ。

 クラスタ内部での名前解決(DNS)には、Kubernetesの標準DNSサーバ「CoreDNS」が稼働している。社内限定のネットワーク転送設定なども、テキスト形式の設定ファイル(YAMLファイル)を介して一元管理できる。

 通信制御の要となるネットワークポリシーは、「Microsoft Azure」内で仮想ネットワークの通信を制御する機能「ネットワークセキュリティグループ」(NSG)の概念と酷似している。特定の領域やコンテナを指定し、通信の許可/拒否をルール化するプロセスには、IT管理者が長年培ってきたファイアウォールの知識がそのまま適応できる。

Day 2オペレーション:ガードレールによる予防的統制

 稼働後の運用(Day 2オペレーション)における懸念は、監視の手間と費用だ。自前で監視ツールを運用すると保守負担が増大するが、Microsoft Azureのマネージドサービスを活用することで、この課題は解消される。クラウドサービスとオンプレミスシステムを一元管理できるインフラ製品「Azure Local」を利用する構成でも、一様に可視化が可能だ。稼働データ監視ツール「Azure Monitor」を使えば、単一VMを監視する場合と同様の感覚で、名前空間ごとのメモリ要求量やCPU使用率などを一括で把握できる。

 運用を盤石にするのが、企業が定めたルールにシステム構成が準拠しているかどうかを自動で評価、制御する「Azure Policy」による「ガードレール」機能だ。これは、違反を見つけてから対処するのではなく、不適切な設定自体を「展開前にブロック」する仕組みだ。「特定のバージョンが指定されていない不安定なコンテナイメージ」の展開を未然に防ぐといったルールを適用することで、インフラの健全性を自動的に維持できる。


 クラウドネイティブなシステム構成への移行は、展開プロセスの変化を伴うものの、監視、ネットワーク制御、ガバナンスといった運用の根幹は揺るがない。IT管理者は、開発者によるアプリケーションの実装状況を的確に把握しながら、既存のIT運用知識を新たなインフラに適応させることで、安全かつ効率的な運用を実現できる。

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本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

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