2026年1〜3月のPC市場は表面上は成長を記録したが、その内情は危機的だ。AIデータセンター需要の爆発によってメモリなどの部材費用が跳ね上がり、PCメーカーは異例の対処を迫られている。販売店や消費者への影響は。
2026年第1四半期(1〜3月)、世界のPC市場は前年同期(2025年1〜3月)比3.2%増となる6480万台の出荷を記録した。製品別ではデスクトップPC部門が5.4%増と、最も顕著な伸びを示した。
停滞していた市場に明るい兆しが見えたかのように思えるが、調査会社Omdiaの分析によれば、この数字は「嵐の前の静けさ」に過ぎない。PC市場の展望は、当初の想定以上に厳しくなりそうだ。アナリストは、メモリやストレージの調達費用が予測を上回る見込みだと警告している。
なぜ、出荷台数が増えているのにアナリストは警鐘を鳴らすのか。そこには、2025年から2026年にかけてのメモリ価格、ストレージ価格の異常な高騰と、PCメーカーの強硬な姿勢があった。
2026年初頭のPC市場を支えた要因の一つは、供給不足に伴う値上げへの警戒感にある。複数の販売パートナーが、価格高騰を避けるために顧客に早期発注を促した結果だ。価格上昇の懸念はここ数カ月、業界が直面し続けてきた。Omdiaは2026年第2四半期(4〜6月)以降、市場はさらに厳しい状況に陥ると警告している。
Omdiaでプリンシパルアナリストを務めるベン・イェー氏は、「第1四半期の成長が2026年のピークになる可能性が高い」と指摘する。イェー氏によれば、第2四半期以降はメモリなどの部材費用が想定以上に急騰する見込みだ。
この状況はPCメーカーの利益を激しく侵食する。PCメーカーは、増加した費用を販売代理店や最終消費者に転嫁せざるを得ない状況だ。「AI(人工知能)データセンターの建設ラッシュが、家庭用PC向け部門の部材供給を圧迫している」とイェー氏は説明する。
部材費用は2025年第1四半期以降、すでにそれぞれメモリが約5倍、ストレージが約3倍に跳ね上がっている。CPUについても、IntelとAMDが2026年第2四半期に向けて最大15%の価格引き上げを正式に通知・実施しており、家計や企業への負担は増す一方だ。
「Windows 10」のサポート終了に伴う買い替え需要は、依然として市場を支える。同時に、各PCメーカーがAIモデルの処理を高速化する専用チップを積んだ新型機を投入しており、これが消費者の購買意欲を刺激している。
Omdiaの地域別分析によると、北米など一部の地域では、比較的安価だった旧在庫が底を付き、製品価格を引き上げざるを得ない段階にある。メーカー別のシェアを見ると、2026年第1四半期はLenovoが前年同期比8.7%増で首位を維持した。2位のHPは欧米での不調が響き、4.9%の減少となった。Dell Technologiesは2025年末からの勢いを維持し、7.8%増と健闘している。
PC市場の浮き沈みは、ハードウェアの販売を主軸とする代理店に影響を及ぼす。2026年の収益悪化を危惧する声は根強い。Omdiaのチーフアナリストであるアラステア・エドワーズ氏は2026年3月、パートナー企業の懸念を測るために同社が実施した調査結果を公表した。これによると、特にハードウェアの価格設定を巡るPCメーカーの強気な姿勢が、パートナー企業の経営をますます苦しめている。
「2026年3月の時点で、一部のメーカーは出荷時の時価販売を強行している」とエドワーズ氏は警告する。注文確定後であっても一方的にキャンセルされる事例が見受けられ、販売店の負担は限界に近い。顧客と価格固定で契約済みの業者にとって、これは死活問題だ。
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